証券会社のアナリストは、調査対象企業を分析し、バイ(買い)、ホールド(保有)、セル(売り)と、その企業の株式に対して推奨する投資判断を発表する。

 彼らの判断は有効なのか──。

「2011年3月末~12年4月末」の期間、日本、米国、英国の主な上場株式についてアナリストの投資推奨の有効性を調べた結果を紹介する。調査したのは、岡三証券の栗田昌孝氏で、彼は「クオンツ(数量分析)アナリスト」として、複数の外資系証券会社で、リサーチのキャリアを持っている。

 調査は、以下のようなやり方で行われた。

 例えば、日本株について調査する場合、日経平均の225銘柄を、複数の証券会社のアナリストの投資推奨のコンセンサスで評価して、上位と下位に2分割し、それぞれの銘柄群を等金額で保有した場合の投資パフォーマンスを調べる。前月末の投資推奨に基づいて上位・下位に2分割して1ヵ月保有することとして、上位・下位それぞれについて、毎月の運用パフォーマンスを連結して、比較する。

 この期間にあって、日経平均について、結果がどうだったかというと、「高推奨」のグループのパフォーマンスは▲5.08%、「低推奨」のグループは▲3.83%だった。

 この調査期間には、オリンパスのスキャンダル発覚があったので、栗田氏は、オリンパス(さすがに低推奨のグループだった)を除外したパフォーマンスも調べた。「高推奨」は▲5.08%と変わらないが、「低推奨」のグループは▲3.51%と両者の差は開く。オリンパスがなければ、「高推奨」「低推奨」の差はもっと大きかったのだ。

 同じ時期、米・英両国ではどうだったか。栗田氏は、同じ期間に関して、米国ではS&P500の銘柄について、英国ではFTSE100の銘柄について、同様に調べた。両方とも、時価総額の大きな各国市場を代表する銘柄群で構成される、有名な株価指数だ。