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河尻亨一のデジタル・クリエイティブReview
【第5回】 2012年7月12日
著者・コラム紹介
河尻亨一 [元「広告批評」編集長/銀河ライター主宰/東北芸工大客員教授]

今、小さくても存在感たっぷりの
ローカルメディアが多くの人を動かす

「街コン」はどうしてこんなに盛り上がったか

前回まで、仏カンヌで行われた「カンヌ国際クリエイティブ祭」を軸に「グローバル」な話題を取り上げましたので、今回は「ローカル」で個性的な情報を発信する人や団体の記事をご紹介してみたいと思います。

「全国の書店に“島本棚”を!」
離島経済新聞社の呼びかけ

小さなメディアが生き残るために必要なもの―リトケイの「リアルの情報デザイン」の意義(小野美由紀氏のブログ「None.」)

 ご存知のように昨今では、数えきれないほどの地域振興の取り組みが行われています。しかし、そういったプロジェクトは十分な活動費がないことも多いため、ウェブやソーシャルメディアをフルに活用することでPRや人集めを行っています。

 なかにはクリエイティブに力を入れた活動もあり、そのことで地元の魅力をよりヴィヴィッドに伝え、体験(実績)にまで結びつけようと奮闘している組織や個人も見受けられます。

 ここに挙げた記事は、「離島経済新聞」というウェブマガジンをリリースしている企業の関係者による個人ブログ(「リトケイ」という季刊紙も発行)。その媒体名からも連想されるように、このメディアは国内に430あるとされる“有人離島専門”の情報サイトです。

 「日本の島情報メイン」というコンセプトがユニークですが、「離島経済新聞」(ウェブ)、「リトケイ」(紙)はデザインもシンプルで洗練された仕上がりになっています。こういったクリエイティブが、「遠くて不便」というイメージもないわけではない離島の新しい魅力への気づきを促し、人が訪問するきっかけになるかもしれません。

 同社では現在、新プロジェクト「島Books」のローンチを目標として、「READY FOR?」というクラウドファウンディングのサービスを活用しているようです。ブログにも記されているように「リアルの場との連結」(私の解釈で言い換えれば「体験にまで誘えるか?」)は、現代の多くのメディアが直面する課題です。

 クラウドファウンディングとは、個人や組織が実現したいプロジェクトの詳細をウェブ上でプレゼンテーションし、それに共感した人たちから支援金を集めるシステム。「READY FOR?」は音楽やアート、映像といった狭義のクリエイティブワークだけでなく、地域振興や被災地支援などのプロジェクトも参加できるサイトとして知られています。

 しかし、すべての応募プロジェクトが支援金をゲットできるわけではありません。紹介したブログには、「島Books」の意義やローンチへの意気込みと同時に、事業への理解を得ることや資金調達の難しさも率直に綴られています。“小さなメディア”が試行錯誤しながら現状を打開しようとしている様がリアルに伝わる記事でした。

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河尻亨一 [元「広告批評」編集長/銀河ライター主宰/東北芸工大客員教授]

1974年、大阪市生まれ。99年、早稲田大学政治経済学部卒業。お茶の水美術学院講師を経て、2000年より雑誌「広告批評」(マドラ出版)に在籍。08年、編集長就任。10年、同社退職後、雑誌・書籍・ウェブサイトの編集、企業の戦略立案およびPRコンテンツやイベントの企画・制作を手掛けるほか、講演活動なども行っている。


河尻亨一のデジタル・クリエイティブReview

ITツールの進化によって、デジタル・クリエイティブはより精緻に、よりリアルにとその表現力を上げています。これまで体験したことのない感動をデジタルで実感できる時代には、どんなコミュニケーションが可能になるのでしょうか。元「広告時評」編集長の河尻亨一氏がナビゲートします。

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