太陽光パネルに課す「法定外目的税」とは

 もう1つ、太陽光発電事業者の悩みの種がある。それは、岡山県の美作市が導入を検討している「法定外目的税」だ。

 これは、事業用太陽光発電所に設置された太陽電池パネルの面積に応じて発電事業者に課税するというもの。美作市によれば、環境保全、防災対策、生活環境対策及び自然環境対策の費用に充てるという。パネル1平方メートル当たり50円の課税で10kW以上の野立て発電所を対象とし、年間9400万円の税収を見込む。

 これに対し今年6月、太陽光発電協会が反対声明を発表した。

 この法定外目的税が全国自治体に波及すれば、太陽光発電事業にとっては「法人事業税や固定資産税にプラスした二重の税負担になる」「自治体が後から課税すれば、想定収益の確保が難しくなり、既存事業者は借入金の返済計画などの変更を迫られる恐れがある」といった問題点を指摘。公平な競争を損ない、長期安定稼働の妨げになると批判している。

 美作市が導入を検討する太陽光パネルに対する課税が実際に導入されると、税収アップを狙う全国の自治体にも波及する可能性が高い。そうなれば、太陽光発電事業者に対する影響は計り知れない。

 2つの“足かせ”で業界は死屍累々となりかねない。こうした国や自治体の動きは見方を変えれば、FITにより潤ってきた太陽光発電業界から少しでもお金を回収し、新たな財源として確保したい――そんな思惑が透けて見える。