(2)社内で部署を越えた共同作業をなすときの連帯の礎

 他部署との共同作業がある際に、自部署の本音や、建前なしのぶっちゃけた話をできるのが、同志の関係だ。これがあるがゆえに、利害関係が入り組んだハードルの高いタスクも実行可能となる。さらに、同期が他社に転職し、重要な機能を担っている場合は、連帯を外部にも拡大させることができる。

(3)異動した場合の新しい関係づくりの起点

 別の部署に異動すると、まわりは基本的に知らない人だったりするが、そこに一人でも同期がいれば、その人の持つ人間関係をシェアしてもらえる。いるといないでは、周囲に溶け込むスピードが全く違う。

(4)仕事以外の家族、財産など重要な問題の相談相手

 同期はまた、年齢、収入、ライフステージとも同じくらいであることが多く、かつ気兼ねなく話せる関係であり、一番頼れる相談相手になる。いろいろと便利でちょっとした親戚のような存在でもある。

出世レースにおいて
実は競争相手は同期だけ

 一方、社内の人事的な序列、いわゆる出世競争について見ると、多くの大企業で行われてきた年次式人事管理において、競争相手は同期だけである。役員昇進以降は別ではあるが、それまでは1つ上や1つ下の年次の社員ですら全く競合していなかったのである。

 入社してから何年かたつと同期はほとんど皆昇格するが、何パーセントかは昇格できない。さらに数年後、トップ何パーセントだけが全体よりも半期早く昇格する。さらに数年後トップ何パーセントが…と、まるでマラソンレースのように、少しずつ先頭集団と後続集団に振り分けられていくのである。

 中途のキャリア採用者は大学や院卒の卒業年次をもとに、入社時の期待値において、このいくつかのグループのどこかに割り振られるのが通例であった。現場側が、どうしても優秀な人に来てもらうため、同期のトップよりもはるかに高い報酬を出して採用したいと言っても、「秩序が崩れる」と人事は頑強に反対したものである。

 この年次管理、実はなかなか素晴らしい発明であった。

 社員は常に自分が全体のどの辺りにいるかが(だいたい)わかるわけだが、たまに途中で大きな成果を挙げた人が、後から急にトップとは言わないまでも前方に躍り出たりする「イレギュラー昇格」があり、適度な緊張感が保たれた。また、トップ争いから脱落してしまった人も「勤続○○年の表彰」などといった形で奨励し、定年時までモチベーションを落とさないで働かせる精緻な設計がなされていた。

 これこそが日本企業のコアスキルではないかと思えるくらい良く出来ていたのである。