消費者物価の下落が続いており、政府は2009年11月の月例経済報告で、「日本経済は緩やかなデフレ状況にある」との「デフレ宣言」を出した。月例経済報告で初めて「日本経済は緩やかなデフレにある」と認定したのは01年3月のことだが、06年6月を最後に、「経済がデフレだ」との文言は消えていた。今回は、3年5カ月ぶりの「デフレ宣言」である。

 これを受けて、「持続的な物価下落は、景気に悪影響を与える。デフレから脱却しなければ経済が活性化しない。いっそうの金融緩和が必要。需給ギャップを埋めるべし」などの主張が多く見られる。

 しかし、日本で現在起きていることは、金融緩和が不十分なために起きている「デフレ」ではない。11月14日付けの連載第45回で述べたように、相対価格の大きな変化である(これは、今回に限ったことでなく、01年から変わらない事実である)。

 今回の消費者物価下落の大きな原因の1つは、原油価格の低下だ(【図表1】参照)。

 原油価格の上昇は、原油の使用に税をかけられ、その税収を産油国に持っていかれるのと同じことである。原油価格が低下して消費者物価が下落するのは、こうした課税の負担が低くなっていることを意味するのである。それにもかかわらず、これを喜ばずに「問題だ」という人が多いのは、まったく理解でない現象だ。

 日本人として心配すべきことは、原油価格が再び上昇に転じていることである。【図表1】に示すように、原油価格は09年1月の1バーレル約35ドルの安値から、最近では倍以上となる76ドルまで急騰した。したがって、消費者物価下落の1つの要因は、一時的なものだったことになる。

一時的要因:原油価格の下落

 では、原油価格は今後どのように推移するだろうか?