右肩下がりのガリバーは
「対岸の火事」か

 自動車業界の業績が、このまま縮小均衡へ向かうのかどうか。その命運を握っているかもしれない中古車ディーラーとして、ガリバーの解析結果を〔図表 5〕に示す。

 〔図表 5〕を見ると、リーマン・ショック以降、ガリバーの業績は低迷状態にある。「エコカー補助金」が逆風になっているようだ。

 先ほど、新車市場は、中古車の公正価値や評価差額によって「下駄を履かせてもらっている」と書いた。ガリバーの業績が右下がりになっている点について、新車を扱う自動車メーカーは、中古車市場を「対岸の火事」とせず、自らの市場価値を支える存在として相応の注意を払うべきかもしれない。

 もちろん、トヨタやニッサンが、国内生産能力を10%、15%と減らして海外へと脱出するのであれば、「対岸の火事」など気にする必要はないのだが。国内に取り残された中小下請けメーカーは、エコカー補助金終了に伴う新車販売不振に悩まされ、それに中古車市場の低迷が拍車をかけて、国内の自動車産業は共倒れになりそうな予感がする。

ガリバーの棚卸資産が
1カ月未満である理由

 ガリバーを持ち出したついでに、頭の中で観念的に描いたイメージと、実際の姿とは異なるものであることを示すデータを紹介しよう。例えば、中古車ディーラーというと、どのようなイメージを思い浮かべるだろうか。

 真っ先に浮かぶのは、広い敷地に数十台の中古車を並べている姿だ。全社ベースともなれば、数千台の規模になる。しかも扱う商品は、値の張る車である。スーパーマーケットに並ぶ商品とはわけが違う。次から次へと売れるものでもない。となると、棚卸資産回転期間は相当に長いだろう、と推測される。

 以上のイメージを抱えたままで、次の〔図表 6〕を見ていただこう。

 驚くのは、緑色で描いた棚卸資産回転期間が1カ月以内で推移している点だ。これを見て、ガリバーが全国の店舗(12年2月末現在、415店舗)で抱える中古車を必死に売りさばくことにより、翌月には在庫が総入れ替えになるのだ、と即断してはいけない。

 ガリバーの場合、一般顧客から買い取った中古車を、全国の中古車オークション会場で「卸売り」している点に特徴がある。これにより「在庫リスク」を回避している。ガリバー独自のビジネスモデルだ。

 次に、青色で描いた売上債権回転期間が長いのが特徴だ。リーマン・ショック以降は3カ月にまで伸びた。ただし、ガリバーは2010年以降、金融事業を縮小(ジー・ワン・クレジットサービスを売却)している。エコカー補助金と相まって、これがガリバーの業績を下押ししているようだ。