プロ野球ドラフト会議が行われ、注目の佐々木朗希投手(大船渡高)を4球団、奥川恭伸投手(星稜高)を3球団が1位指名。佐々木は千葉ロッテ、奥川はヤクルトが交渉権を得た。ほかには、石川昂弥内野手(東邦)が競合の末に地元の中日、森下暢仁投手(明治大)は単独指名で広島に決まった。
夏の地方大会前には、最速163キロ、あの大谷翔平投手をも凌ぐ逸材といわれる佐々木に全球団の指名が集まるのではないかとの報道もあった。が、岩手県大会決勝の登板回避、さらにはU18W杯で指先のマメをつぶし早々に降板するなど、ひ弱さが指摘され、4球団の競合にとどまった。
一方、夏の甲子園で力強い投球を見せ、準優勝の立役者となった奥川は、プロ球界の信頼と期待を得て評価を高めた。
“大成功”に見えた
阪神のドラフト指名に不安要素も
全体の結果を眺めると、阪神の上位3選手の名前が目を引く。奥川こそ抽選で外したが、はずれ1位で昨夏の甲子園を沸かせた西純矢投手(創志学園)、夏の甲子園MVP的活躍で履正社を全国制覇に導いた4番打者井上広大選手を2位で、3位は150キロ左腕・及川雅貴(横浜高)の獲得に成功した。顔ぶれだけを見れば大成功だろう。
だが、高校球界で強打を誇った井上選手の未来を案じる声もある。いわゆる金属バット打法で、バットの先っぽでも、あるいは手元で詰まっても持っていく。だが、木製バットで 快打を飛ばせるか?ボールがツボに来れば痛打するが、内角高めなど厳しい攻めに対応できるのか?U18日本代表のメンバーに選ばれなかったのも、木製バットを使う大会だから敬遠されたのではないかとの見方があった。
及川にしても、左腕から150キロの速球を投げ、キレのいい変化球で三振が取れる魅力的な逸材であるのは間違いない。だが、春のセンバツ初戦。先発マウンドに上がった及川は投球練習でいきなり、投捕間の真ん中あたりに叩きつけるワンバウンドを連発した。シーズン開幕早々でまだコンディションが不十分だったにせよ、それはイップスと呼ばれる深刻なメンタルトラブルではないかと案じられた。もし及川がそうした課題をいまも抱えているのであれば、プロ野球界での前途は厳しい。それを改善できるコーチングスタッフがいるのかどうか。