小池知事は18日の会見で、「アスリートファーストは重要」と繰り返した。ただ会見での発言の大半は、自身への連絡が最後だったことへの不満や、「これまで暑さ対策にはIOCのメディカルコミッティーの助言を受けてきた」など、IOCや組織委を手続き論で難詰することに費やされた。

「北方領土」発言でロシア大使館が反発
札幌開催は既成事実化する公算が大きい

 加えて問題なのは、17日の連合東京の定期大会の挨拶で、「どうせなら(マラソンと競歩を)北方領土でやればいい」などと放言したことだ。

 さすがにこの発言に対しては、在日ロシア大使館がフェイスブックで、「日本国内には寒冷な気候の土地がたくさんあるのは知っていますが、南クリル諸島(ロシア側の北方領土の呼称)はその中には含まれません。スポーツは統合ためのものであり、敵対な発言の話題であってはならないのです(編集部注:原文ママ)」などと批判した。小池知事の主張の是非はともかく、無用の反発を引き起こしたという点で、国会議員時代に安全保障をライフワークとしてきた小池知事とは思えない発言である。

 札幌でのマラソンと競歩の開催については、「すでに電通が準備に向けて動いている」(組織委関係者)。組織委の森会長が容認しており、小池知事以外に大きな反発もないことから、このまま既成事実化していく可能性が高い。

 五輪の本番まで10ヵ月程度しか残されていないが、他にもトライアスロン会場である東京・お台場の海水の汚水や大腸菌の問題をはじめ、今後も課題が噴出する可能性は高い。都だけでなく組織委の機能不全ぶりを指摘する声もある。

 だが、まずは開催都市のトップが冷静に自身の言動を顧みて、大会成功に集中することを大多数の国民が望んでいるはずだ。