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世界を巻き込む途上国ビジネス

多様性なき世界で、人は成長しない!
途上国ビジネスが「グローバル人材」を育成するワケ

中村俊裕 [米国NPOコペルニク 共同創設者兼CEO]
【第8回】 2012年7月24日
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 前回までは、コペルニクの仕組みやビジネスモデルなどについて書いてきたが、今回はそれらに様々な形でかかわっている「人」にフォーカスしてみたい。というのも、多くの人たちと協力し合うことではじめて、われわれコペルニクは途上国のラストマイルに必要なテクノロジーを届けることができるからだ。

 では、コペルニクが一緒に仕事をしている人材について考えてみよう。

自らのアイデアを形にした
開発者たち

 まず最初のグループは、イノベーションを生み出すコアの部分を担っている「テクノロジーを生み出す人たち」。調理用コンロ、簡易浄水器、ソーラーランタンといった途上国向けのシンプルなテクノロジーの開発者たちを指す。彼らの国籍、バックグラウンドは実に様々だ。

 例えば、インドネシアで調理用コンロを発明したヌルフダさん。彼はドイツの大学で博士号を取得し、現在は東ジャワのブラヴィジャヤ大学で先生をしている。日本の理化学研究所にも勤務していた経歴も持つ。彼が発明した調理用コンロは、コペルニクもその普及に協力しており、中央ジャワやヌサテンガラを中心にインドネシアの各地で普及している。

 また、インドネシアのアチェで、NGOスタッフとして津波被害後の復興支援をしていたグイド・リサ夫妻は、オランダ出身。支援活動のなかで、被災者のニーズに直接こたえるためにはどうすればいいかと考えた結果、自ら浄水器を開発した。いまではアチェに工場を作り、現地の人を雇いながら活動をしている。コペルニクもインドネシアを中心に各地でその浄水器の販売協力をしている。

インドネシアの女性たちの前で発明した調理用コンロを披露するヌルフダさん
Photo:©Kopernik

貧困解決のために立ち上がった
現地リーダーたち

 2つ目のグループは、「テクノロジーを広める人たち」。コミュニティに根ざした活動をしている非営利団体の人たちを指す。彼らの多くは、自分たちの貧困を解決するべく立ち上がった地元のリーダーたちだ。

 例えば、東ティモール・アタウロ島出身のオサイアスさん。インフラが全く整っておらず貧困率の高いアタウロ島で、いかに美しい環境を守りながら持続的な開発を遂げることができるかを考え、Move Forwardという団体を立ち上げた。平日は国連機関の現地スタッフとして働きつつ、週末はボランティアスタッフとともに環境問題に対する啓蒙活動などを行なっている。僕も今年2月、実際に彼に会う機会があったが、理想を掲げながらも実行力が伴っているという印象を受けた。

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中村俊裕 [米国NPOコペルニク 共同創設者兼CEO]

京都大学法学部卒業。英国ロンドン経済政治学院で比較政治学修士号取得。国連研究機関、マッキンゼー東京支社のマネジメントコンサルタントを経て、国連開発計画(UNDP)で、東ティモールやシエラレオネなどで途上国の開発支援業務に従事。アメリカ、スイスでの国連本部業務も経験し、ソマリア、ネパール、スリランカなど紛争国を主にカバーしていた。
2009年、国連在職中に米国でNPO法人コペルニクを設立。アジアやアフリカをはじめとする途上国の、援助の手すら届きにくい最貧層が暮らす地域(ラストマイル)へ、現地のニーズに即したシンプルなテクノロジーを使った製品・サービスを提供する活動を行い、貧困層の経済的自立を支援している。
2010年、2011年には、クリントン元米大統領が主催するクリントン・グローバル・イニシアティブで登壇。2011年にはテック・クランチが主催する「クランチーズ」で表彰。2012年、世界経済会議(ダボス会議)のヤング・グローバル・リーダーに選出された。また、テレビ東京系の「ガイアの夜明け」やNHKなどメディアへの露出も増加している。現在は大阪大学大学院国際公共政策研究科招聘准教授も務め、マサチューセッツ工科大学(MIT)、コロンビア大学、シンガポール大学、オックスフォード大学、東大、京大など世界の大学で講演も行っている。2012年、ダイヤモンド・オンラインに連載「世界を巻き込む途上国ビジネス」を寄稿。著書に、『世界を巻き込む。』がある。
☆中村氏twitterアカウント: toshikopernik
☆コペルニク・ジャパンfacebookページ: http://www.facebook.com/kopernikjapan


世界を巻き込む途上国ビジネス

BOPビジネスという言葉も登場し、途上国に新たなマーケットを求めて進出する企業が増えている。しかしその多くは、現地のニーズをきちんと捉えたビジネスモデルになっていないことが多い。長年、国連で途上国の開発事業に携わり、現在は自身が立ち上げたNPOコペルニクにて、シンプルなテクノロジーを途上国に届ける活動を行っている中村氏が、現地ニーズに即した途上国ビジネスについて考える。

「世界を巻き込む途上国ビジネス」

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