前回までは、コペルニクの仕組みやビジネスモデルなどについて書いてきたが、今回はそれらに様々な形でかかわっている「人」にフォーカスしてみたい。というのも、多くの人たちと協力し合うことではじめて、われわれコペルニクは途上国のラストマイルに必要なテクノロジーを届けることができるからだ。
では、コペルニクが一緒に仕事をしている人材について考えてみよう。
自らのアイデアを形にした
開発者たち
まず最初のグループは、イノベーションを生み出すコアの部分を担っている「テクノロジーを生み出す人たち」。調理用コンロ、簡易浄水器、ソーラーランタンといった途上国向けのシンプルなテクノロジーの開発者たちを指す。彼らの国籍、バックグラウンドは実に様々だ。
例えば、インドネシアで調理用コンロを発明したヌルフダさん。彼はドイツの大学で博士号を取得し、現在は東ジャワのブラヴィジャヤ大学で先生をしている。日本の理化学研究所にも勤務していた経歴も持つ。彼が発明した調理用コンロは、コペルニクもその普及に協力しており、中央ジャワやヌサテンガラを中心にインドネシアの各地で普及している。
また、インドネシアのアチェで、NGOスタッフとして津波被害後の復興支援をしていたグイド・リサ夫妻は、オランダ出身。支援活動のなかで、被災者のニーズに直接こたえるためにはどうすればいいかと考えた結果、自ら浄水器を開発した。いまではアチェに工場を作り、現地の人を雇いながら活動をしている。コペルニクもインドネシアを中心に各地でその浄水器の販売協力をしている。
Photo:©Kopernik
貧困解決のために立ち上がった
現地リーダーたち
2つ目のグループは、「テクノロジーを広める人たち」。コミュニティに根ざした活動をしている非営利団体の人たちを指す。彼らの多くは、自分たちの貧困を解決するべく立ち上がった地元のリーダーたちだ。
例えば、東ティモール・アタウロ島出身のオサイアスさん。インフラが全く整っておらず貧困率の高いアタウロ島で、いかに美しい環境を守りながら持続的な開発を遂げることができるかを考え、Move Forwardという団体を立ち上げた。平日は国連機関の現地スタッフとして働きつつ、週末はボランティアスタッフとともに環境問題に対する啓蒙活動などを行なっている。僕も今年2月、実際に彼に会う機会があったが、理想を掲げながらも実行力が伴っているという印象を受けた。