しかし、そうした異質な文化や価値観に触れることは、実は非常に大きな意義がある。グローバル時代のいま、世界はすでにつながっており、ビジネスの世界だけでなく、日本人の生活そのものにも大きな影響を与えている。だからこそ、世界のニーズを知ることが今後ますます重要になってくる。これまで閉ざされた環境のなかにいた日本人は、多様なものを受け入れる力をもっと持つべきだと僕は思う。多様性が新たなビジネスチャンスを生み、イノベーションを起こす可能性を持つからだ。

グローバル人材の本質とは?

 それは、途上国の貧困問題解決においても同様のことがいえる。途上国ではこれまで、政府役人、国際機関、支援国の外交官という非常に狭い世界で問題が議論されていた。しかし近年、様々な国の、様々なバックグラウンドを持つ人たちが入り始めたことで、新たなリソース、新たな知見をレバレッジできるようになった。つまり、第5回でも触れたとおり、「コラボレーションがイノベーションを生む」時代となったのだ。いかに多様なリソースを活用できるか――それが今後の貧困問題解決のカギなのである。

 そして、「このような多様性の中で活躍できる人材」こそがグローバル人材の本質である、と僕は考えている。われわれコペルニクの活動にかかわっている人たちは、そうした多様性にあふれたグローバルな人材ばかりだ。彼らとともにコペルニクも、途上国のラストマイルでさらなるイノベーションを起こしていきたい。

 そこでコペルニクは、日本において新たなプロジェクトをスタートさせた。オープンイノベーションを促進する技術仲介会社・ナインシグマ社と共同で、「煙の出ない調理用コンロ」「海水を飲み水にする技術」のアイデアを募集中だ。この試みにより、いままで途上国問題にかかわってこなかったような人たちの中から多様なアイデア・技術を発掘し、途上国の問題解決に役立てることを目的にしている。この連載を読んでいただいている読者の中で、これはというアイデア・技術を持つ方はぜひ応募していただきたい。詳しくはナインシグマ社のホームページにて。

 また、第3回でも紹介したSee-dコンテストは既に独立した団体となり、今年7月15日のキックオフを皮切りに、第2回目の途上国向けモノづくりコンテストを開始した。この取組みでも、日本のエンジニアを中心に途上国向けのモノづくりをめざしている。

 次回は、コペルニクが途上国市場への進出をめざす企業向けに始めた「アドバイザリー・サービス」について紹介をしたい。日本企業の中にも数多く、すばらしいアイデアが眠っている。