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香山リカの「ほどほど論」のススメ
【第38回】 2012年7月30日
著者・コラム紹介バックナンバー
香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

リスクマネジメントが過剰な社会
なぜ、「正義」ばかりになったのか?

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改めて「ほどほど論」について考える

 「ほどほど論のススメ」というテーマで、1年近く連載を続けてきました。なぜ今、このテーマを選んだのか。思い返すに、「ほどほど」という感覚が人々から失われつつあることに対して問題提起をしたい。そんな思いがありました。

 そもそも「ほどほど」とは何か。私は二つの意味を想定しました。

 一つは、「何かに取り組む時には100%全力投球しなければならない」といった「やりすぎ」に対する疑問です。一生懸命やって成果が出ている時はいいですが、いつもそううまくはいかない。特に今のような時代は努力が報われないこともままある。頑張って頑張って力尽きてしまった時にはもう立ち直れなくなってしまう恐れもある。こうしたリスクを提言したいと考えたのです。

 もう一つは、何にでも白黒つけたがる思考に対する疑問です。最高か/最低か、0点か/100点か、正しいか/正しくないか、というふうに二者択一的に判断しようとする風潮が行きすぎてはいないか。多様な価値観や生き方を否定することにつながらないのか。警鐘を鳴らすべきではないかと考えたのです。

 つまり、両方に通じるのは、「ほどほど」とは真逆の「極端」を求める方向性です。

 先が見えない混沌とした時代だからこそ、極論にも似た明確な答えや指針が求められるのでしょうか。ネットでのコミュニケーションが自由に行われるようになり、短い言葉で言い切るような表現が好まれることの影響もあるのでしょうか。1年間、様々な切り口で「ほどほど」について考えてきましたが、つくづく「世の中は極端に振れることが多いなあ」と感じます。しかも、その傾向は強まっているようにも見えるのです。

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香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

1960年北海道札幌市生まれ。東京医科大学卒業。豊富な臨床経験を生かし、現代人の心の問題のほか、政治・社会評論、サブカルチャー批評など幅広いジャンルで活躍する。著書に『しがみつかない生き方』『親子という病』など多数。


香山リカの「ほどほど論」のススメ

好評連載「香山リカの『こころの復興』で大切なこと」が終了し、今回からテーマも一新して再開します。取り上げるのは、社会や人の考えに蔓延している「白黒」つけたがる二者択一思考です。デジタルは「0」か「1」ですが、人が営む社会の問題は、「白黒」つけにくい問題が多いはずです。しかし、いまの日本では何事も白黒つけたがる発想が散見されるのではないでしょうか。このような現象に精神科医の香山リカさんが問題提起をします。名づけて「ほどほど」論。

「香山リカの「ほどほど論」のススメ」

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