
3月31日付で発表された第三者委員会によるフジテレビの調査報告書が公表され、大きな話題となっている。事件に至るまでの内容やその後の社内対応の不備が赤裸々に明かされた。読み解くと見えてくるのは、フジテレビの中でも意思決定権を持っていたトップ層が、いかに社会の変化に対して無自覚であったかである。(フリーライター 鎌田和歌)
波紋を呼んだ
元フジテレビアナのコメント
4月6日に放送されたフジテレビ系列の情報番組「Mr.サンデー」では、第三者委員会による調査報告書が公表されたことを扱い、スタジオのコメンテーターらが討論を交わした。
この中で元フジテレビアナウンサーで現在はジャーナリストの長野智子氏のコメントが波紋を呼んだ。
流れとしては、司会を務める宮根誠司氏から長野氏に話が振られた。宮根氏は「長野さんも(現役アナウンサーの)藤本さんもいらっしゃるんで言いたいんですけど」と断った上で「みなさん、アナウンサーとしてのプライドを持ってらっしゃる」とアナウンサーの日々の鍛錬にリスペクトがあることを語り、「アナウンス部の人全部が接待要員とか、上納されるとか、そういう見方はぜひ視聴者の方には違うんだというのは思っていただきたくて」と長野氏に話を向けた。
これを受けた長野氏は、「本当にそう思います。調査報告書を見てそして今の世論の感じだと、アナウンサー全員が脆弱で、仕方なく上納とかってなってますけど、ほとんどの人たちは真面目に本当に真摯に、そういうことにイエスノーもきちんと言えて毅然としてやってるわけですよね」と話し、再度宮根氏が「今回のAさんは断れなかった状況に追い込まれたっていうんですけど、アナウンサーの方たちがすべてがそういうことをやっているっていうのは違う」と続けた。
これに対してジャーナリストの中野円佳氏が「そういうつもりではないかもしれないですが、Aさんが断れなかったことを責めるように聞こえる」と苦言を呈した。
すると宮根氏は「そういう意味じゃない」と遮り、「Aさんという方は大変な目に遭われましたけど、アナウンサーの方たちがすべてアナウンスメントの技術だとか番組のことよりも、タレントさんと仲良くなることを第一に考えてフジテレビに入ってということじゃなくて、みなさん誠実に仕事をしてらっしゃる。たまたまAさんは断れない状況に追い込まれたということを言いたいんです」と続け、アナウンサーたちはプロフェッショナルだと強調した。
また、これ以外でもAさんがなぜ誘いを断れなかったのかという議題設定で討論が進む場面があった。