
「教育格差」や「体験格差」が話題となっている。所得や学歴が高い親は、子どもの「勉強」と「体験」に時間を費やし、大学へ行くための経済的な支援ができる。一方で、低所得世帯や生活保護受給世帯などは、子どもに割ける経済的・時間的な余裕が少ないため、そこに格差が生じるのだ。では具体的に、どのような問題が起こっているのだろうか。※本稿は、ヒオカ『人生は生い立ちが8割 見えない貧困は連鎖する』(集英社)の一部を抜粋・編集したものです。
「ズルい」「贅沢だ」で
切り捨てられるもの
貧困支援に関する報道への反応を見ていると、直接自分に不利益がなくても、支援されるのは贅沢だ、ズルいというニュアンスの反発がある。
ここ最近、子どもの「体験格差」をメディアが取り上げ、問題提起される機会も増えた。教育格差の解消に取り組む公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンの調査では、世帯年収300円未満の家庭の子どもの約3人に1人が、1年を通じて「学校外の体験活動を何もしていない」という。
直近1年で学校外の体験がない子どもの割合は世帯年収300~599万円だと20.2%、600万円以上だと11.3%と、家庭の所得が子どもの体験の差に如実に表れている。(注1)