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石黒不二代の勝手に改革提言!ニッポンの新しい教育

いじめ、学級崩壊は誰のせいで起きるのか
学校で苦しむ子どもを救える教育と教師の条件
ティーチフォージャパン松田悠介代表理事×ネットイヤーグループ石黒不二代社長【後編】

石黒不二代 [ネットイヤーグループ代表取締役社長兼CEO]
【第20回】 2012年7月31日
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今、いじめや学級崩壊が深刻な社会問題化している。そうしたなか、問題を抱える学校現場で働く教師は、かつての尊敬される存在から、“なりたくない職業”と揶揄される存在になってしまった。しかし今、アメリカでは全米から自己成長意欲が高く、情熱ある若手人材を集め、困難な状況にある学校に2年間教師として送り込むというプログラムを実施する「ティーチフォーアメリカ(TFA)」が大きな注目を集め、全米文系大学生「就職先人気ランキング(2012年度)」ではウォルト・ディスニー、国際連合に次いで第3位を獲得するまでに成長している。

TFAの活動は世界25ヵ国に広がっており、日本における活動で先頭に立つのが「ティーチフォージャパン(TFJ)」の代表理事・松田悠介さんだ。松田さん自身、中学時代にいじめを経験したことがきっかけで体育教師を目指し、実際に学校で働いた経験を持つ。しかし、松田さんはその後、教師を辞め、ハーバード教育大学院にて学び、TFJを設立する。なぜ“天職”と語る教師を辞めてまで海外で学び、TFJを設立するに至ったのか。その背景を探ることで、松田さんの人柄だけでなく、深刻化するいじめや学級崩壊の解決策までもが垣間見えてきた。

中学時代のいじめから救ってくれた体育教師

石黒 TFJを設立される前は体育教師でいらっしゃったそうですが、松田さんが教師になろうと思われたのは、いつ頃からなんですか?

まつだ・ゆうすけ/ Teach for Japan代表理事。1983年千葉県生まれ。2006年日本大学文理学部体育学科卒業後、体育科教諭として都内の中高一貫校に勤務。体育を英語で教えるSportsEnglishカリキュラムを立案。部活指導では都大会の予選ですら勝つ事ができなかった陸上部を全国大会に導く。その後、千葉県市川市教育委員会教育政策課分析官を経て、2008年9月ハーバード教育大学院修士課程(教育リーダーシップ専攻)へ進学し、修士号を取得。卒業後、外資系戦略コンサルティングファームPricewaterhouseCoopersにて人材戦略に従事し、2010年7月に退職。Teach for Japan創設代表者として現在に至る。
Photo by Toshiaki Usami

松田 高校1、2年生の頃から絶対体育の先生になるんだと決めていました。私、実は中学生の時にいじめられていたんです。毎休み時間、柔道部の同級生に柔道技を掛けられていて、今もその後遺症で腰が悪いんです。

石黒 どんな学校だったんですか?

松田 普通の学校ですよ。いじめは、どこにでもありますから。でも、友達は周りで見て笑っているだけで、担任の先生も見て見ぬふりをして止めもしませんでした。すごく孤独で苦しかったですが、そんな中で自分と向き合ってくれる恩師との出会いがありました。その恩師が体育の先生だったんです。

 その先生は一方的に教えるのではなく、「松田、どうすれば強くなれるか一緒に考えていこう」と常に問いかけ、私の半歩先を照らしてくれていました。それを通じて、自分で身長が高くなるにはどうすればいいかなどを調べて実践することで、実際に背が高くなり、体格を鍛える中でいじめられなくなりました。

 実は、身長が150センチメートルほどで体格が小さかったので、体育は大嫌な科目だったんです。それが、体格が良くなってくるにつれて、授業で成功体験が積み重なり、いつの間にか大好きな科目になりました。

 大切なのは、自分と向き合ってくれる大人が1人いたということです。そんな人が1人いるか、いないかで、子どもの人生は大きく変わります。恩返しの意味を込めて、自分も学校で困難を抱えている子どもに向き合える大人になりたい、そして1人でも多くの体育嫌いの子どもに体育好きになってもらえる先生になりたいと思いました。

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石黒不二代 [ネットイヤーグループ代表取締役社長兼CEO]

スタンフォード大学にてMBA取得後、シリコンバレーにてハイテク系コンサルティング会社を設立し、日米間の技術移転等に従事。2000年よりネットイヤーグループ代表取締役として、ウェブを中核に据えたマーケティングを支援し独自のブランドを確立。

石黒不二代の勝手に改革提言!ニッポンの新しい教育

グローバル化が急速に進む今、世界で通用する競争力を持ち、リスクや変化を恐れずに活躍できる人材が渇望されている。しかし、日本はそうした人材を十分に育てられない環境下にある。今後、世界で活躍できる人材を育てるにはどのような教育改革が必要か。子どもの教育、社会人教育の両面から、その答えを探っていく。

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