男の子の「やる気スイッチ」は、ない

 「親がうるさく管理しなくても、自分でやる気になってくれないかしら」

 男の子の親、とくに母親の共通した願いです。

 母親たちは一生懸命、我が子の「やる気スイッチ」を探していますが、見つけることができないようです。なぜ見つからないかといったら、「ない」からです。

 ときどき、非常にまれな確率でそれを持っている男の子がいます。でも、自分の子どもにそれを探していたら時間ばかりロスしてしまいます。

 私のところでも、やる気スイッチを持った男の子などほぼゼロです。しかし、やる気スイッチのない子もちゃんと志望中学に合格します。実際に、「ウチの子は最後までやる気にならなかったけれど、受かりました」という、妙な安堵の声が親御さんからたくさん寄せられます。

 これは、勉強をルーティーン化し、生活の一部にしてしまったからです。

 寝るときはパジャマに着替えるとか、朝起きたら顔を洗うとか、食後に歯磨きをするといったことも、最初は親がいちいち言わなければできなかったはずです。でも、何度も言ってやらせているうちに、自ら行う習慣となったでしょう。

 「○時になったら勉強を始める」ということを歯磨きと同じような習慣にしてしまえば、子どもはそれを苦に感じることなくこなせるようになります。そうすれば、やる気になどなってもらわなくても大丈夫なのです。

 ビジネスでも思い当たることがありませんか?

 あなたや、あなたの部下にやる気スイッチなんてあるのでしょうか?

 朝起きて、身支度して会社に行き、メールをチェックして得意先をまわる。それは習慣として行っているのであって、やる気スイッチが入ったからではないでしょう。でも、得意先から注文が取れたらそれでいいではありませんか。

 やる気の度合いを問題にすると、気合いや根性などの精神論に陥ります。しかし、大切なことは仕事と同じで、結果なのです。