老後を目的に貯金すると、お金は増えない

 日本の経済成長がとまり、将来もらえる公的年金の額は、若い世代ほど少なくなる(この不公平な制度は早急に見直さなくてはいけない)。だからといって、若いうちから老後を目的に貯金しようとすると、逆にお金は貯まらなくなる。

 20代、30代で、5年後、10年後の夢のために貯金するのは正解だ。子どもが生まれたら、18年後の子どもの大学入学に備えて貯め始めることは必要だ。しかし、老後はダメ。ここで算数のワナにはまらないことが大切だ。

 計算上は、65歳までに2000万円つくるには、45歳からなら月8万3300円貯めなくてはいけないが、25歳からなら月4万1700円でOK(金利ゼロの場合)。金利を考慮すると、この差はもっと大きくなる(2%なら6万0800円と2万7000円)。

 しかし、20代から月3万円や4万円を、それもコンスタントに老後のために貯めるのは、その分、今の自分のために使えないということだ。
  若いときに本を読んだり、音楽を聴いたり、おいしいものを食べたり、人と会ったり、海外に行ったり、勉強をしたり、趣味に費やしたり、思い切り遊んだりして経験を積まないと、仕事をする力も稼ぐ力もやせ衰えてしまう。下手をすると、職を失ってしまうかもしれない。

 20代、30代でたっぷり自分に投資して、40代以降の収入を増やせば、老後のために貯めるのはそれからでも十分間に合う。仕事力があれば、60代、70代でも面白おかしく働き続けられる。

20代から老後のために貯金する人は、<br />「お金が貯まらない人」。