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若い人ほど知ってほしい、日本のお金が働かないワケ
【第3回】 2011年4月20日
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上阪 徹 [ライター]

なぜ、みんなが預貯金に向かうのか?
国につくられた“預貯金礼賛”

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前回まで、日本の個人金融資産は、預貯金の占める割合が極めて大きいいびつな状況になっていることに触れてきたが、日本で預貯金がこれほどまでに多い理由については、さまざまなことが言われてきた。その中で、なんとなく受け入れてしまうのは、日本人は農耕民族であり、安定安全を好むから、というものである。たしかにわかるような気もするが、本当にそうなのだろうか。

〝貯蓄意識〟は国の奨励政策が生み出した

 戦前の日本は、預貯金偏重ではなかった。銀行融資を中心とした「間接金融=お金を借りたい人と貸したい人の間に第三者が存在する取引」も、株式や債券などへの投資を中心とした「直接金融=お金が必要な人に第三者を介さず直接出資する」も入り乱れた、〝資本主義〟が成立していたと言われている。もちろんそれは、厳しい自己責任と収入格差の時代でもあったのではあるが……。

 では、なぜ戦後の日本で、預貯金=間接金融がこれほどまでに大きくなったのか。松本さんは、その理由を考えていくうちに、それが国の政策だったのではないか、ということに思い至る。

 「第二次世界大戦に負けて国が焼け野原になり、日本は当時、政府にまったくお金がありませんでした。それどころか、国際社会には借金があったわけですね。焦土と化した日本をどう再興しようかと考えたとき、誰かが天才的な発想で思いついたんでしょう。個人の預貯金を使おう、と」

 政府にはお金はなかったが、個人にはまだお金があった。そこで、特に国営だった郵便貯金にそのお金を持ってきて、まとめて活用することを考えた。実際、そのための〝機関〟が存在していた。

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上阪 徹 [ライター]

1966年、兵庫県生まれ。89年早稲田大学商学部卒。アパレル メーカーのワールド、リクルート・グループなどを経て、95 年よりフリー。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、 雑誌や書籍などで幅広く執筆やインタビューを手がけている。インタビュー集に累計40万部を超えるベストセラーとなった『プロ論。』(B-ing編集部編/徳間書店)シリーズ、『外資系トップの仕事力』(ISSコンサルティング編/ダイヤモンド社)シリーズ、『我らクレイジー★エンジニア主義』(Tech総研編/講談社)、著書に『新しい成功のかたち 楽天物語』(講談社)、『600万人の女性に支持される「クックパッド」というビジネス』(角川SSC新書)、『「カタリバ」という授業』(英治出版)、『書いて生きていく プロ文章論』(ミシマ社)、『預けたお金が問題だった。』(ダイヤモンド社)、『文章は「書く前」に8割決まる』(サンマーク出版)などがある。


若い人ほど知ってほしい、日本のお金が働かないワケ

 「貯金が趣味」もいいけれど、若い人は知っているのだろうか?

 1400兆円の個人金融資産の7割以上は、60歳以上の世代が持っているものと類推される。彼らの預貯金は国債の購入という形で国の借金に変わり、公共事業につぎ込まれる。その使われ方は周知のとおりだ。また、日本の将来に向けた新しい産業の創出に使われるわけではない。

 一方で、これから日本に生まれてくる子供は、生まれた瞬間に900兆円の借金を背負うことになる。それは、あまりに不公平ではないだろうか?日本のお金の流れはおかしい。そしてそのツケは、若い人が負わされている。

 マネックス松本大さんに話を聞きながら、日本のお金のいびつな構造をあきらかにし、将来に向けて警鐘を鳴らす。

「若い人ほど知ってほしい、日本のお金が働かないワケ」

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