英国留学時代に学んだことの1つに、「海外で良好な人間関係を築くには、年齢・学歴・社会的地位・階級・国籍・人種・宗教などをあえて意識せず、『個人』の能力や人間性のみをリスペクトして付き合うこと」がある。

 英国社会は階級社会である上に、旧宗主国・植民地の関係をベースとしたアフリカ、中東、アジアなどからの多くの移民がいる。私の周囲にいた人たちもそれぞれ、かつての植民地主義や地域、二国間の複雑な「過去」を背負っていた。しかし、彼らはお互いが背負っているものを意識から除き、個人に対するリスペクトに徹して人間関係を築いていた。それが国際社会を生き抜くための「知恵」であり、守るべき「節度」でもあると、私は学んだ。

 翻って、竹島問題に関する韓国人の挑発的な言動である。彼らは我々を一括りに「日本人」として蔑視し、大韓民族の誇りを訴えている。だが、海外で「民族」を前面に出せば、相手も「個人」よりも「民族」を意識するようになる。「民族」として見られてしまうと、ディスリスペクトされがちになる。私は韓国人の友人がたくさんいるが、国際社会で韓国人が「民族」を強くアピールすることは、あまりいい結果にならないのではないかと心配している。

中小政党が
選挙制度改革を混乱させた

 さて、本題に入る。衆院本会議で、衆議院選挙制度改革法案が、民主党・国民新党の賛成で可決した。だが、自民党、公明党、国民の生活が第一、共産党、社民党、みんなの党などが採決を欠席した。法案は参院に送られたが、「ねじれ国会」下で可決・成立する見通しは全く立たず、否決か審議未了で廃案になる可能性が高い。更に、自民党や公明党が、首相の問責決議案を参院に提出する構えである。

 選挙制度改革は、2009年衆院選における「一票の格差」を最高裁が「違憲状態」と指摘したことでスタートした。だが、新たな区割り案勧告期限が過ぎても、制度改革が進まなかった。それは公明党など中小政党が、「小選挙区の0増5減」による「違憲状態」の解消だけではなく、抜本的制度改革を主張して譲らなかったからだ。