自民党の総裁選挙(9月14日告示、26日投開票)は、最終的には安倍晋三元総裁と石原伸晃現幹事長の決戦になりそうだ。
谷垣総裁が犯した2つの過ち
谷垣禎一総裁はいずれ出馬を辞退せざるを得ないだろう。ハシゴをはずされても意地を張って出馬するという性格ではない。生来無欲で常識的な人だから、ここが引き際と思えばあっさりと撤退する。無惨な敗北を覚悟して突進することはないだろう。
野党第一党の党首として、彼は2つの重大な過ちを犯してしまった。
1つは、与党以上に声高に消費税増税を主張したこと。
もう1つは、“解散”を公然と政治的交換条件としたことだ。
これによって彼の政治展開の幅は極端に狭まり、手詰まりを余儀なくされた。野党がダイナミックな展開を自ら封じたら「政治にならない」のである。
いかにも谷垣氏らしいのだが、彼は結局のところ自分に引導を渡した人たちと行動を共にして石原氏に協力するのではないか。
“静”の石原陣営と“動”の安倍陣営
自民党分裂の可能性も
第1回投票で安倍氏と石破茂氏のどちらが上位になるかはわからない。だが、「維新の会」との関係で安倍氏が上回ることになるかも知れない。
石原氏の支持基盤は、長老と増税派が中核を占めるだろう。それに対して安倍氏の支持基盤は、若手で改革・成長派が占めることになる。
両者ともに若い総裁候補だが、一方はミコシが新しいのに担ぎ手は古く、もう一方はミコシが中古でも担ぎ手は新しくて若い。
どうやら決定的な違いは目指す政権の枠組みにある。安倍氏は最大のパートナーとして橋下徹大阪市長の維新の会を見込んでいるようだが、石原氏は民主党との連立を期待する人たちによって枠組みが決まりそうだ。
いずれにしても、全く違う政権の枠組みを目指すとしたら、総選挙の前後に自民党の分裂は避けられなくなる。