NTT東西の主力である高速光回線サービス「フレッツ光」の伸びがストップしている。その背景にはKDDI陣営の果敢な攻めがある。追い詰められたNTT東西は料金値下げや秘策を練っている。次世代高速無線通信LTEサービスが本格化するこの秋から競争はさらに激しくなりそうだ。
KDDIの高速光回線サービス「auひかり」のパンフレットをめくると、まず速度と料金が目に飛び込んでくる。
速度は毎秒1ギガ(1000メガ)ビット。理論上、映画1本をわずか33秒でダウンロードでき、100メガビットが主流のNTT東日本とNTT西日本の「フレッツ光」と比べて5分短縮できる速さだとうたう。
さらに料金は、「月額5460円」で100メガビットとほぼ同等とし、最後のページは、スマートフォンとセットで契約すると1台当たり月額1480円を値引く「auスマートバリュー」で締めくくられている。
実はこのパンフ、auショップなどに置いてあるものと内容が違い、「訪問販売」専用である。このパンフを持った営業担当者が、東北や中国・四国などこれまで進出していなかった「無風」地帯に入り、戸建ての契約をひっくり返している。
こうしたKDDIの落下傘的な攻勢の成果はすでに数字に表れている。
下図に示すように、累計契約数は、今年4~6月期でauひかりが20%を上回る伸び率を示すのに対して、フレッツ光は10%を切る状況。新規契約数から解約数を除いた純増数で見てみると、30.7万件で前年同期と比べ43%減と大きく落ち込んでいることがわかる。