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若手社員の「新型うつ」は単なるうつ病ではない!
パニック障害の権威が職場の偏見と治療の誤解に警鐘
――貝谷久宣・医療法人和楽会理事長に聞く

貝谷久宣 [医療法人和楽会理事長]
【第293回】

 自分が植えた種から、おいしい野菜やきれいな花が育っていく姿を見る。そうした人間本来の生きる喜びを得られる生活を送ったらいいでしょうね。肉体労働を行なうと、脳の神経細胞も活性化します。

――メディアが言う「新型うつ」は、うつ病の一種、あるいは普通のうつ病より軽い病というイメージを持っていました。しかし、ここまで話を聞いてきた限り、想像以上に深刻な病気なのですね。

 この病気は実際に重いですよ。ただ、今はマウスの実験段階ではありますが、サイクロセリン、デキサメサドンなど、消去学習を促進する薬も出てきました。ここ5年ほどの間に、研究はどんどん進んできています。近い将来、人間に効く薬が出てくるかもしれません。我々医療に携わる者も、研究を続けなくてはいけないと思います。

「新型うつ」は社会の課題
医師たちが誤診を続ける背景

――貝谷理事長は、そもそもメディアが言う「新型うつ」の正体をどのように見破り、このような持論を構築できたのですか。

 私は開業してからの20年間、精神薬理学や神経病理学を基本に、パニック障害や対人恐怖症の患者をじっくり見つめてきました。特に、脳の機能を考えながら、薬がどの部分に効くかを地道に分析して治療してきた。「新型うつ」が普通のうつ病と違うのではないかという疑問を持てた理由は、こうした積み重ねに尽きますね。

 一番の問題は、多くのうつ病の研究者たちがそうした患者の症状をきちんと分析せず、短期間の面接だけで「うつ病」と診断していること。米国の疫学調査によると、うつ病と診断される病気の4割には不安障害が見られるそうです。つまり、4割は単なるうつ病ではない可能性がある。うつ症状が見られるという理由だけで一般的なうつ病の治療をしても、患者がよくならないのは当然と言えるでしょう。

 普通に診察して不安障害を見つけられる割合は、わずか2%程度と言われていますが、きちんと構造面接をやると、その確率は3割程度まで増えると言われます。こうして考えると、世間で「新型うつ」が問題化する背景には、実は精神医学や社会が抱える課題も深く絡んでいるのではないでしょうか。

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