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逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

其の19「人をつまづかせるのはこの世の不幸である。
つまづきは必ず起こる」(マタイによる福音書)
急増する職場の新型うつにどう対処するか

江上 剛 [作家]
【第19回】 2012年7月3日
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 「新型うつ」が大流行りだ。まるで新型インフルエンザみたいだ。あちこちの雑誌で特集を組んでいる。特に経済雑誌が特集しているところを見ると、これは病気の問題より経済問題の側面が強いのだろうか。

病気、それとも……

 新型うつは、サボリじゃないのかと言われる。会社の診療室で、「軽い抑うつ症状がある。休養をすすめる」と産業医にさらさらと書いてもらったら、A君は上司に「うつです。休みます」と堂々と宣言する。

 「お、お前、今、どういう時期だか分かっているのか」

 上司は、脳の血管がぶちきれんばかりに怒鳴る。期末のセールス強化の週で、追い込みがかかっているのだ。今週、どれだけ成績を上げられるかで、部の業績、いや、会社の業績が違ってくるのだ。

 「全社一丸となって、火の玉のセールスを展開しよう!」などと書いたポスターがあちこちに貼ってある。それが目に入らないのか。

 ところがA君は、「仕方がないですね。産業医が休養しろというのに休養させなかったら、労働安全衛生法違反ですから」と、上司の怒りを意に解さない。「それでは」と軽く手を上げると、机の上を片付けた。

 「お前、それはなんだ?」

 上司が、A君が帰りに担いでいるリュックからはみ出している透明なパイプのようなものを見つけて、聞いた。

 「ああ、これですか?」とA君はパイプのようなものを見て、「シュノーケルです。沖縄の海でのんびりとシュノーケリングを楽しんできます」と言い、オフイスから消えた。

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江上 剛 [作家]

えがみ ごう/1954年1月7日兵庫県生まれ。本名小畠晴喜(こはた はるき)。77年3月早稲田大学政経学部卒業。同年4月旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。高田馬場、築地などの支店長を歴任後、2003年3月同行退行。1997年に起きた第一勧銀総会屋利益供与事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力する。『呪縛 金融腐蝕列島』(高杉良作・角川書店)の小説やそれを原作とする映画のモデルとなる。2002年『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。以後、作家に専念するも10年7月日本振興銀行の社長に就任し、本邦初のペイオフを適用される。


逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

作家・江上剛氏は、その人生で2回も当局による強制捜査を経験した。その逆境にあって、心を支えくれたのが、「聖書」「論語」「孫子」などの古典の言葉である。ビジネス界に身を置けば、さまざまな逆風にされされることも多い。どんな逆境にあっても、明るく前向きに生きる江上剛氏が、柔術ならぬ“剛術”で古典を読み解き、勇気と元気の“素”を贈る。

「逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―」

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