「使用済みの紙おむつが、燃料になる!」

 はじめてこの話を聞いたときは、本当に驚きました。

 皆さんも使った後の紙おむつは、ゴミになるイメージしか思い浮かばなかったのではないでしょうか。私も子育てで紙おむつを使った経験があります。忙しい中子育てをするものにとって、こんなに便利なものはありませんが、ゴミに出すと重くてかさばる上に悪臭までするということで、捨てるたびに後ろめたさを感じたものでした。

 これから日本は、少子高齢化の時代を迎えます。紙おむつの統計を見てもその状況は現れていて、2010年には大人用紙おむつの生産量が、幼児用のそれを上回るそうです【図1】。子育てを経験した人が感じる後ろめたさを、ほぼすべての人が感じる時代になるといっても過言じゃないでしょう。

【図1】
紙おむつの「生産量実績」と「見通し」

 でも、そんな紙おむつ(しかも、使った後のあれです)を、破砕→発酵→乾燥→滅菌という工程を経て、燃料(RPF*)として生まれ変わらせるという画期的な技術が開発されました。

(*)RPF
 Refuse Paper & Plastic Fuel の略称であり、主に産業系廃棄物のうち、マテリアルリサイクルが困難な古紙及び廃プラスチック類を主原料とした高品位の固形燃料。【出所:日本RPF工業会

紙おむつから再生燃料へ

 言うならば、環境問題と高齢化問題をまとめて解決するというもので、何とも興味深い技術です。

「紙おむつ」に賭けた人生!?

 この技術を開発したのは、団塊の世代の人たちが立ち上げた株式会社スーパー・フェイズというベンチャー企業です。この会社の木村幸弘社長は、今年還暦を迎えられた方ですが、この方の経歴が何とも面白いのです。

 若かりし頃は、空間デザイナー、照明デザイナーとして活躍され、写真スタジオのはしりである代官山スタジオや、名古屋セントラルパークのモニュメントなどをデザインされ、日本初のディスコであるメビウスの仕掛け人の1人でもありました。また、その後はモータースポーツのマネジメントを手がけられ、モータースポーツ界に新しい風を吹き込んだ方としても知られています。