卵子のイメージ写真はイメージです Photo:PIXTA

モデル・タレントとして活躍する前田智子さん(38歳)は、36歳で卵子凍結を決断。子どもを持つ選択を先延ばしにする手段として選んだその決断は、未来への「担保」となった。しかし、それによってパートナーとの間に溝が深まり、想定外の展開を呼び起こす――。※本稿は、松岡かすみ『「-196℃の願い」卵子凍結を選んだ女性たち』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

卵子凍結を公表しているのに
取材は断る著名人たち

 ここ数年、卵子凍結したことを公表する著名人が、ちらほら見られるようになった。ただ、「卵子凍結をした」ということ自体は公表しても、その経緯や思いなど、具体的なことにまで言及している人は、ほとんどいない。

 もちろん、表に立つ仕事をしている手前、卵子凍結という極めてプライベートなことについて、言及しづらいというのはあるだろう。実際、卵子凍結したことを公表している著名人何人かに取材を申し込んだのだが、「それについては話せない」という回答が続いた。「同様の取材依頼をたくさんいただいていますが、皆様一律に、お断りしています」という人も多かった。

 正直なところ、その理由が、いまいち腑に落ちなかった。こう言っては何だが、「だったら、なぜ公表するのだろう?」とも思った。聞かれてもいないのに自ら卵子凍結したことを公表しているのに、「それ以上は話せない」というのは、なぜなのだろうと。