一流秘書や経営者を始め、政治家、財界人、外資系トップ、芸能人たちを指導する、日本を代表する「国際儀礼(プロトコール)」と「マナー」の指導者である著者が、初めてビジネスパーソン向けの本を上梓。その本『どんな場でも、「困った人」にならない気配りの習慣』より、内容を抜粋してご紹介。全4回です。

気配りの基本は「相手に合わせる」こと

 私が長年、政財界のトップの方たちや、各界の第一線で活躍しているビジネスエリートと呼ばれる方たちと接していて、実感することがあります。

 それは世間から「本物」と評される経営者であればあるほど「気配り」が身に付いている、ということです。

「気配り」とは、独りよがりな配慮ではありません。その場その場で自分に求められていることを察知したり、相手の方が心から喜ぶことをさりげなくできる気づかいのこと。つまり、相手が何を望んでいるのかを知ろうとする心を持ち、状況に合わせたふるまいができることです。

 人間関係を良好に保ち、人から慕われる人になるためには「気配り」は欠かせません。そしてそれができる人だからこそ、他人から引き立てられ、信頼され、自ずと組織の階段を上がっていくのでしょう。ですから一般的に社会的な立場が上の方ほど「腰が低い」と言われるような丁寧な物腰で会話をなさいます。

 気配りの基本は自分の立場や目的を理解したうえで「相手に合わせること」です。もちろんそれは、相手のことを思いやること、と言い換えてもかまいません。

 たとえば、ビジネスランチや接待での食事など、ビジネスシーンにおけるメニュー選びの基準で大切なことはなんだと思いますか?