日本の人口は今、何人くらいか、君は知っているかな。2010年の国勢調査を見てみるとだいたい1億2806万人。でも、この人口はこれからどんどん減ってしまうんだって。

国立社会保障・人口問題研究所では、将来の人口について3つの見方で予測を立てている。このうち、「中位推計」――人口の増減が中程度と仮定した場合の予測――を見てみると、2030年には1億1522万人、さらに2060年には8674万人となっている。これは、第二次世界大戦後の人口とほぼ同じ規模だ。

どんどん人口が減り、縮んでいく日本の社会。いったい私たちの行く手には何が待ち受けているんだろう?

――この連載では、これからの時代を担うことになる子どもたちとともに、日本の未来をいろいろな角度から考察してゆきます。子どものいる読者の方もそうでない方も、ぜひ一緒に考えてみてください。

東京の高齢者が爆発的に増える――?
大都市と地方で分かれる命運

政策研究大学院大学 名誉教授
松谷明彦先生の話

2035年、若者が東京から逃げ出す!?<br />東京が「高齢者ホームレス」であふれる日松谷 明彦(まつたに あきひこ)/経済学者。1969年東京大学経済学部経済学科卒、大蔵省入省、主計局調査課長、主計局主計官、大臣官房審議官等を歴任、97年大蔵省辞職、政策研究大学院大学教授、2011年同名誉教授。2010年国際都市研究学院理事長。著書に『人口減少時代の大都市経済 - 価値転換への選択』(東洋経済新報社)など多数

 みんなは「少子高齢化」って知っているかな。少子化というのは、生まれてくる子どもの数が減ってしまうことだよね。そして高齢化というのは、人口に占める65歳以上の人の割合が増えることだ。でもね、一口に「少子高齢化」といっても、大都市と地方とでは表れ方がまるで違うんだよ。

 結論から言ってしまおうか。東京などの大都市では、今後、高齢化がものすごいスピードで進んでいく。ところが、島根県や秋田県といった、すでに高齢化が進んでいる県では、もうそれほど高齢化が進行することはないんだ。

 島根県は今、全国で一番高齢化が進んでいる県だ。人口に占める65歳以上の人の数は、2005年時点で27.1%で、20万1000人。だいたい4人に1人以上がお年寄りっていうことだよね。2035年にはどうなるかというと20万7000人になる見込みだ。次に高齢化率の高い秋田県では、30万8000人から32万1000人に増える見通しだよ。

 この数字、どう思う?たしかに増えはするけれど、びっくりするほどではないでしょう?ただし、人口自体は減少する。2005年における島根県の人口は74万2000人だけど、2035年には55万4000人と、25%近く減る。秋田県は114万6000人から78万3000人。およそ32%も減少する見込みだ。