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餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?
【第3回】 2012年10月3日
著者・コラム紹介バックナンバー
林 總 [公認会計士、税理士、LEC会計大学院教授(管理会計事例)]

第1章 会計はだまし絵、隠し絵だ(後編)
会計の本質と損益計算書のしくみ

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20万部のベストセラー『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』のシリーズ最新作『50円のコスト削減と100円の値上げでは、どちらが儲かるか?』(共に林總著)がいよいよ10月5日に発売されます。その刊行を記念して『餃子屋と高級フレンチでは〜』を特別公開。今回は、第1章の後半をご紹介致します。

【前回までのあらすじ】
父の遺言により倒産寸前の中堅服飾メーカー「ハンナ」の社長に就任した由紀。ところが、メインバンクからは一切の資金協力を拒否され、1年経っても経営が改善しなければ融資を引きあげると言われる。由紀からコンサルティングを依頼された安曇は、「社長として最初にすべきことは会計を学ぶこと、会計の『隠し絵』に目を向けなければならない」と説く。

老婆と若い美女のだまし絵

 「会計は『だまし絵』でもある」

 安曇は別の絵を指さしていった。

 「これは何の絵だと思う?」

 由紀には若い女の子の後ろ姿のように見えた。もしかしたら他の見方もできるのでは、と目をこらした。すると老婆の横顔が見えるではないか。少女の耳は老婆の目、少女の顔からあごは老婆の鼻だ。

 「醜い老婆と若い美女の『だまし絵』だ」

 「この絵も会計と関係があるのですか?」

 その質問を予想していたように、安曇はうれしそうに笑みを浮かべた。

 「会社が作る決算書は、『だまし絵的』であると言っていい。会計のプロはさまざまなテクニックを使って、決算書の見栄えをよくしようとする。女性が化粧をするようにね」

 「会計は、会社のありのままの姿を表していない、ということですか?」
由紀が聞いた。

 「そこが微妙な点なのだ。許される範囲で見栄えを良くしている、と言うべきだろう。上手な化粧のようなものだ。しかし、化粧が過ぎると『だまし絵』になる」

 「私は、決算書は真実を表現したものだと思っていました」

 由紀には意外だった。

 「真実を表現した決算書はこの世に存在しない。決算書が伝える情報には、会社の主観(※8)が織り込まれている。その主観によって利益は変動する」

 「主観ですか……?」

 安曇は大きく頷いた。

(※8)会社の主観……減価償却費、貸倒引当額、退職給付引当金などの計算に会社の判断が入り込みます。

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林 總(はやし・あつむ) [公認会計士、税理士、LEC会計大学院教授(管理会計事例)]

1974年中央大学商学部会計科卒業。外資系会計事務所、監査法人勤務を経て独立。経営コンサルティング、執筆、講演活動などを行っている。 主な著書に、ベストセラーとなった『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?』『コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?』『[新版]わかる! 管理会計』(以上、ダイヤモンド社)、『ドラッカーと会計の話しをしよう』(中経出版)、『会計物語 会計課長団達也が行く』(日経BP社)、『貯まる生活』(文藝春秋)などがある。

著者ホームページ:http://atsumu.com/

 


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