初対面での話題のタブー
「三脱(さんだつ)の教え」

 この「江戸しぐさ」の中に「三脱の教え」というものがあります。「三」とは「年齢」「職業(肩書き)」「地位」のこと。昔の日本には、初対面の人に相手のプライベートに関することを聞いてはならないというルールがあったのです。

 では、なぜそのような教えがあるのでしょうか? 

 実はその3つのことに人がこだわりを持ってしまうと、先入観でその人を見てしまいがちだからです。国際儀礼でも同様に、初対面の人にこの3つを聞くことは避けるようにと言っています。なぜなら「互いに一人の人間同士として向き合い、その人自身を見る」ことを理想としているからです。

 日本人は江戸時代から国際儀礼と同じ精神とルールを身に付け、実践していたのですから、なんと誇らしいことかと思います。色眼鏡で他の人を見るのは良くないことであり、また、自分一人の尺度で他の人を評価したりすると、ときに真実を見誤ることがあると注意を促すのは、やはり世界共通です。

 もしも初対面の人が、あなたの年齢や職業を尋ねてきたら、なんだか厚かましい印象を受けて、あまりいい気持ちはしないのではないでしょうか。そして、「気配り」が欠けている、と思ってしまうかもしれません。

 表面的なことにとらわれずに、相手と会話を楽しむためには、自分自身が教養を身に付けることも大切です。話題は記憶から生まれるものなのですから。様々な分野のことを話題にできるようになれば、三脱の教えも自ずとできることでしょう。


◆ダイヤモンド社書籍編集部からのお知らせ◆

初対面で話題に選んではいけない「3つのこと」とは

『どんな場でも、「困った人」にならない気配りの習慣』好評発売中!
知らずしらずのうちに失礼なことをしていませんか?
マナーや礼儀の基本を知らずに、相手に不愉快な思いをさせてしまう人。また本人はまったく悪気はないのに、気づかいが足りずに相手を怒らせてしまった人。相手を思いやる気持ちはあるのに「知らずしらずに」失礼なことをしてしまった人。そんな「困った人」にならないために、ビジネス、プライベート、国内、海外、どんな場面でも使える気配りの基本的なルールを紹介。
ご購入はこちら! [Amazon.co.jp] [紀伊國屋書店BookWeb] [楽天ブックス]