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井熊均の「性能神話」を打ち破れ

スマートシティは次世代インフラの宝庫
日本が狙うべき市場が持つ二つの条件とは

井熊 均 [日本総合研究所創発戦略センター所長/執行役員]
【第9回】 2012年10月10日
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スマートシティは次世代インフラ市場の宝庫である。しかし巨大に見えるインフラ市場の多くは、技術的に成熟したローテク技術や、どこの国にも規制があり他国企業の参入が容易ではない土木建築が中心である。次世代インフラ市場に日本企業が参入する際には、強みである「組み合わせ」の力が発揮できるフロンティア分野へ挑戦することが必須だ。日本企業が、「組み合わせ」発想で成長のきっかけをつかむためには、ダイナミックに動く新興国のスマートシティに対し、スピード感をもってソリューションを提示したい。

スマートシティは
次世代インフラ市場の宝庫 

 前回、ハイブリッドシステムからスマートハウス、スマートハウスの住宅街(スマートタウン)へと発展させた「産業間の連鎖の流れと消費者の先取り思考」、という日本の強みについて述べた。これを加速するのに必要なのは、住宅街より大きな「シティ:都市:市」を視野に入れた戦略である。

 シティを対象にすれば、「組み合わせ」の範囲は家庭向けの設備から都市のインフラ、や政策運営まで拡大する。そこでは、自治体の政策運営ノウハウ、公害を克服し環境の良い地域を創り上げた実績、湿潤な気候に適した廃棄物処理やリサイクルの技術、世界最高の技術を誇る信号システム、といった日本の強みを発揮することができる。

 こうした脈絡で注目されるのが、世界で広がりつつあるスマートシティの市場である。

 新興国では新しい都市が次々と生まれている。農村部から都市へ人口が移動しているからである。今後、2~3億人が都市に移動すると考えられる中国では、省、市が主導する都市開発が何千とあり、その中に200ものスマートシティと称する計画があると言われる。一方で、都市化は環境負荷の増加を伴う。こうした、「都市化×環境負荷低減」という構図が新興国のスマートシティ市場の基盤となっている。

 この1、2年、日本の名だたる企業のトップが「スマートシティに注力する」と発言している。スマートシティは単純に捉えると、新興国の都市開発市場ということになるが、企業のトップが関心を寄せるのは、スマートシティに次世代インフラ市場としての可能性があるからだ。

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井熊 均 [日本総合研究所創発戦略センター所長/執行役員]

いくま ひとし/1983年早稲田大学大学院理工学研究科修了、三菱重工業(株)入社、90年日本総合研究所入社、95年アイエスブイ・ジャパン設立と同時に同社、取締役に就任(兼務)、97年ファーストエスコ設立と同時に同社マネージャーに就任(兼務)、2003年早稲田大学大学院非常勤講師(兼務)、03年イーキュービック設立と同時に取締役就任(兼務)、06年日本総合研究所 執行役員 就任。近著に『次世代エネルギーの最終戦略-使う側から変える未来』(2011年、東洋経済新報社)『電力不足時代の企業のエネルギー戦略』(2012年、中央経済社)。


井熊均の「性能神話」を打ち破れ

日本企業の凋落がとまらない。企業の産業戦略の基本理念であった「雁行モデル」では、もはやグローバル社会で戦えなくなってきている。その理由は、性能を上げれば逃げ切れる、という性能神話にある。今こそ日本企業は、単品の性能神話から脱し、自らの「組み合わせ」の強みを再認識し、グローバル戦略の中核に据えるべきだ。中国をはじめ新興国で多くのエコシティビジネスを手がける日本総研の井熊均氏が、日本復活のチャンスを問う。

「井熊均の「性能神話」を打ち破れ」

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