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井熊均の「性能神話」を打ち破れ

前門の欧米、後門の中・韓に挟まれた日本
スマートシティ市場でどこに活路を見出すか

井熊 均 [日本総合研究所創発戦略センター所長/執行役員]
【第10回】 2012年10月24日
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日本はスマートシティ立ち上げプロセスにおいて、上流過程では欧米の上層部へのアプローチ力やICTビジネスの力に追いつけず、下流過程では中国、韓国と厳しいコスト競争を余儀なくされている。その間にある中流過程では、さまざまな技術やソフトウェアを組み合わせたエネルギーシステムを仕込み、組み上げ、事業として立ち上げることが求められており、それこそが日本が狙うべき戦場である。

立ち上げプロセス

 日本が究極の「組み合わせ」市場であるスマートシティに、どのように入り込めばいいかを考えよう。まず、中国のスマートシティがどのようなプロセスで立ち上がるかを例に検証していきたい(図表1)。

 スマートシティの立ち上げプロセスの第一のフェーズは、スマートシティのビジョンが構築される段階である。筆者も携わる中新天津生態城であれば、中国政府とシンガポール政府が協働で都市開発を行うことに合意し、環境を最も重要なコンセプトと位置づけた段階である。ここでは、当事国の様々な事情を勘案した検討や協議が行われる。天津の事業であれば、環境負荷の低減、快適な生活空間作り、都市を舞台とした環境産業の立ち上げ、不動産事業としての成功、などがテーマとなったはずだ。

 第二のフェーズは、第一フェーズで作ったビジョンを都市の計画に落とし込む段階である。開発地内での土地利用計画、道路や上下水道などの基本的なインフラの計画等が策定される。この段階で公共側の主体者は中央政府から地方政府に移り、開発事業を管理監督する部門と、実際の事業を手がける開発会社が設立される。

 第三のフェーズは、基本計画に基づいて、エネルギー、交通、廃棄物・リサイクル、上下水道、等、さまざまなインフラの具体的な計画が作られる段階だ。スマートシティに関わる「組み合わせ」型のインフラやシステムを仕込むには、この段階の計画に基本仕様や事業構造を反映させなくてはならない。

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井熊 均 [日本総合研究所創発戦略センター所長/執行役員]

いくま ひとし/1983年早稲田大学大学院理工学研究科修了、三菱重工業(株)入社、90年日本総合研究所入社、95年アイエスブイ・ジャパン設立と同時に同社、取締役に就任(兼務)、97年ファーストエスコ設立と同時に同社マネージャーに就任(兼務)、2003年早稲田大学大学院非常勤講師(兼務)、03年イーキュービック設立と同時に取締役就任(兼務)、06年日本総合研究所 執行役員 就任。近著に『次世代エネルギーの最終戦略-使う側から変える未来』(2011年、東洋経済新報社)『電力不足時代の企業のエネルギー戦略』(2012年、中央経済社)。


井熊均の「性能神話」を打ち破れ

日本企業の凋落がとまらない。企業の産業戦略の基本理念であった「雁行モデル」では、もはやグローバル社会で戦えなくなってきている。その理由は、性能を上げれば逃げ切れる、という性能神話にある。今こそ日本企業は、単品の性能神話から脱し、自らの「組み合わせ」の強みを再認識し、グローバル戦略の中核に据えるべきだ。中国をはじめ新興国で多くのエコシティビジネスを手がける日本総研の井熊均氏が、日本復活のチャンスを問う。

「井熊均の「性能神話」を打ち破れ」

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