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「引きこもり」するオトナたち

つり革に触れない、手や声が震える
社会参加したい人たちの抱える漠然たる不安の正体

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第123回】

 得体のしれない不安が、世の中を覆っている。

 最近も、『「引っ込み思案の目立ちたがり屋」が陥りやすい“社会不安障害”の苦しみ』という2010年3月に書いたコラムに、アクセスが数日間、急上昇したことがあった。

 なぜだろうと思って調べてみると、ヤフートピックスで取り上げられた他媒体の社会不安障害についての記事の関連として、このときのコラムが紹介されていたのだ。

≪共通する特徴は、強気と弱気が混在。人前に出ると緊張する。赤面恐怖、視線恐怖といった症状がある。大学を卒業できても、会社に入ってから、職場で不適応を起こしてしまいやすい≫

 2年半以上も前に書いたこの記事が、こうしてたびたびクローズアップされるのも、きっといまの世の中が、長引く不況や震災の影響で、先行きの見えない時代だからなのだろう。

 昭和初期の金融恐慌の時代、作家の芥川龍之介は、≪何か僕の将来に対する唯ぼんやりした不安≫と記した。

 不安には、何か根拠があるわけではないと、筆者の周りで生きづらさを感じている人たちも、よく口にする。

いい人でいたい、嫌われたくない
不潔恐怖から潔癖症になった40代元会社員

 「将来に対する漠然とした不安ですね。自分の中での脅迫とか死への不安。例えば、手が汚れたとか、ちょっとした不安を自分で作り出して、手を洗えばその場では解決するのに、それがだんだんひどくなって、何もできなくなっていく。働いていれば、そういうことも忘れていられるんですけど、時間があると、そういうことをいろいろ考えちゃって」

 40代の元会社員のAさんは、そう明かす。

 これまでの規範に従えば、ある程度の不安は拭えると、彼はいう。

 しかし、一旦、そういうことに疑問を感じて、新たなものを打ち出そうとすると、自分の拠り所がどこにもない。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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