亀井静香金融大臣(当時)の肝煎りで2009年12月に施行された「中小企業金融円滑化法」(以下「円滑化法」)は、当初期限を1年延長したが、来年3月にいよいよ期限切れを迎えることとなる。
08年9月のリーマンショックを契機に売り上げや利益率が大きく落ち込み、資金繰り難に直面した中小企業にとって、同法は干天の慈雨であっただろう(図1)。しかしながら、企業の利益率はリーマンショック前に比べて大きく低下したままであり(図2)、景況感も最悪期は脱したとはいえ、まだマイナス圏で推移している(図3)。
にもかかわらず、後に検証するように、この間の銀行の不良債権は表面的には増加しておらず、10年、11年は倒産件数が各々▲8.5%、▲14.4%と大幅に減少した(出所:帝国データバンク)。経済の実態に照らして極めて不自然なこうしたデータが意味するのは、国を挙げた問題の先送りが行われたということである。しかし、今年度に入って、その矛盾が噴出しつつあり、円滑化法の期限を控え、これまでのような問題の先送りでは解決できない段階に至っている。円滑化法の正しい出口戦略はどうあるべきなのか、これまでの政策対応の是非を含めて考えてみたい。