上司,部下,やる気
部下のパフォーマンスを最大限に引き出せる上司は、すごく特別なことをしているわけではないようです Photo:PIXTA

「自分のアドバイスが、全然部下に響かない…」
「いつの間にか、部下から嫌われている…?」

若者の仕事観、キャリア観が多様化する昨今。彼らをどのようにマネジメントすれば信頼されるのか、対応に苦慮するミドル層が増えています。では、具体的にどうすれば部下とのすれ違いを減らすことができ、彼らのパフォーマンスを最大化できるのでしょうか。

そんな悩みに「部下の“貢献”を適切に拾い上げることが重要」と語るのが、ビジネススクールを運営するグロービスで講師を務める林浩平氏です。これまで数々の企業変革に携わった経験を持ち、モチベーション理論にも精通する林氏が、部下からの信頼を得るコミュニケーション術を解説します。

部下の心が離れている原因は
彼らの「貢献」を見落としているから?

「働き方改革」で仕事の仕方が変わりつつある中、若者が仕事に求めるものも大きく変化してきています。

 スタッフサービス・ホールディングスが行った調査によると、新入社員の入社する決め手1位が、30年前は「給料」だったのに対し、現在は「やりがい」に変化しているといいます。

 また、日本生産性本部が新入社員に対して実施した「新入社員『働くことの意識』調査」によると、働く目的を「社会に役に立つ」とした社員はバブル崩壊を境に増加。30年前と比べ、近年では約2倍にまで上昇していることが分かりました。つまり、この30年で若者は「やりがい」をより重視するようになっているのです。

 40~50代のミドル層よりも、比較的豊かで成熟した社会で生まれ育ってきた現在の20~30代のミレニアル世代。給料やステータスなどの外発的な要因よりも、内発的な動機付けを重視する傾向があります。もちろん全ての若者に当てはまるとは言いませんが、先進国を中心に彼らが「やりがい」を求める傾向は強まっていると言っていいでしょう。

 部下が「やりがい」を感じるために、上司からできるアプローチとして「部下の、チームに対する貢献を認めること」があります。せっかく成果を上げても、上司であるあなたが褒めなければ、彼らはチームのなかでやりがいを感じることはできません。

 小さくても構わないので彼らがもたらした「貢献」を拾い上げてたたえ、うまくモチベーションにつなげるのが、これからの「信頼される上司」に必要なスキルの一つです。逆に、彼らがよかれと思って行ったアクションを見逃したり、無下にしてしまうと、若い部下の心は急速に離れていくでしょう。

 もし、20~30代の部下に対するアドバイスが全く響いていなかったり、なんとなく嫌われていると感じたら、あなたは部下の「貢献」を見逃しているのかもしれません。