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野口悠紀雄の「経済大転換論」

貿易赤字拡大は、国債消化に悪影響を与えない

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第40回】 2012年10月25日
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 財務省が10月22日に発表した貿易統計によると、2012年度上半期(4~9月)の貿易収支は3兆2190億円の赤字となった。これは、11年度の上半期に比べて9割の増加だ。半期ごとの額では、過去最大の赤字だった。

 これによって、経常収支の黒字も縮小する。これまで巨額の経常収支黒字を記録してきた日本経済に、大きな変化が生じていることは間違いない。

 しかし、これをめぐる議論の中には、誤りに陥っているものもある。その一つとして、国債消化との関連に関するものがある。それについて以下に述べよう。

外国からの借金で
国債を買うこともできる

 「経常収支の黒字が縮小すると、国債消化が困難になる」との見方がある(注1)。この見解はかなり一般的であり、大新聞の記事にも見受けられる。

 しかし、この見方は誤りだ。

 誤りである第1の理由は、「経常収支黒字が縮小しても、資本収支の黒字(海外からの資金流入)が増えれば、国債の国内消化になんら問題はない」ということだ。

 これは決して机上の空論ではない。事実アメリカは、2005年から07年まで、年間7000億ドルを超える巨額の経常収支赤字を記録してきた(図表1参照)。05、06年の経常赤字の対GDP比は、6%近くにもなった。それにもかかわらず、国債消化に格別の支障は生じなかったのである。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄の「経済大転換論」

日本経済は今、戦後もっとも大きな転換期にさしかかっている。日本の成長を支えてきた自動車業界や電機業界などの製造業の衰退は著しく、人口減や高齢化も進む。日本経済の前提が大きく崩れている今、日本経済はどう転換すべきなのだろうか。野口悠紀雄氏が解説する。

「野口悠紀雄の「経済大転換論」」

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