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野口悠紀雄の「経済大転換論」

財政赤字と金融緩和の行き着く先はどこか?

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第42回・最終回】 2012年11月8日
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 ジョン・モールディン、ジョナサン・テッパー著『エンドゲーム――国家債務危機の警告と対策』(山形浩生訳、プレジデント社、2012年8月)も、この連載で取り上げてきたテーマについて論じている。

 本書が描く世界経済の推移は、つぎのとおりだ。

(1)過去60年にわたって「負債のスーパーサイクル」があった。これは、民間部門が負債を増加させていく過程だ。

(2)それは、2008年のリーマンショックで終わりになった(p21。なお、ページ数は邦訳のもの。以下同様)。そして、これからは「エンドゲーム」になる(p14、p18、p23)。これは、国などの公的セクターが債務を増大させていく過程だ。

(3)しかし、この過程はいつまでも続けられず、いずれ政府が現在のように安い金利では借りられなくなる。ギリシャはその段階に達したが、他の先進国も、いずれはそうなることを免れない。その場合の選択肢としては、デフォルト、インフレ、通貨切り下げがある。先進国政府は、国債の貨幣化を行なっている(p36)。

民間の負債が
増えたのはなぜか

 まず上記の(1)の過程について見よう。

 民間部門が負債を増大させてきた期間を、本書は「60年間」としているのだが、これは長すぎるのではないだろうか?

 ただし、1980年代あるいは90年代以降に、これがアメリカを中心として生じたことは明らかだ。これは、「グレート・モデレーション」と呼ばれた現象だ。ただし、日本ではそうならず、不況が続いた。また、企業の負債も減少し続けた。だから、日本人には理解しにくい。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄の「経済大転換論」

日本経済は今、戦後もっとも大きな転換期にさしかかっている。日本の成長を支えてきた自動車業界や電機業界などの製造業の衰退は著しく、人口減や高齢化も進む。日本経済の前提が大きく崩れている今、日本経済はどう転換すべきなのだろうか。野口悠紀雄氏が解説する。

「野口悠紀雄の「経済大転換論」」

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