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野口悠紀雄の「経済大転換論」

日本の対中輸出減少の原因は、
ユーロ安でなく、対中直接投資の減少

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第38回】 2012年10月11日
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 日本の鉱工業生産指数は、7月、8月とも対前年同月比でマイナスになった。この大きな原因は、日本の対中輸出が減少していることであるとされる。そして、その原因は、ユーロ安によって中国の対EU輸出が減速していることだとされる。

 以下では、この理解が正しいものかどうかを検討する。

 本稿の結論は、「日本の対中輸出を減少させている基本的な原因は、ユーロ安による中国の輸出減ではなく、中国への直接投資の減少による中国輸出産業の投資減である」というものだ。

 中国への直接投資を減少させている大きな原因の1つは、ユーロ危機による投資家の「リスクオフ」行動だ。ユーロ危機は、ここでも国際的な資金移動を攪乱することにより、実体経済に大きな影響を与えていることになる。

中国の輸出と
経済成長が減速している

 最初に、最近の経済データを確認しておこう。

 2011年の中国の実質GDP成長率は9.2%となった。政府目標である8%成長は達成したものの、10年の10.4%を下回った。12年に入っても緩やかな低下が続いており、12年第1四半期の実質GDPは前年同期比8.1%増にとどまった。国際通貨基金(IMF)は9日発表した半期経済見通しの中で、中国の2012年経済成長率見通しを、7月時点予想の8%から7.8%に引き下げた。

 中国の12年1~8月の輸出入額の対前年比は、図表1に示すとおりである。対EU輸出は、マイナス4.9%となっている。

 他方、日本の対中国輸出の対前年同月比は、11年10月以降(12年5月を除いて)10%近いマイナスを続けている(8月にはマイナス10.0%)。

 8月の鉱工業生産指数は、前月比マイナス1.3%(前年同月比はマイナス4.3%)と、2ヵ月連続の低下となった。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄の「経済大転換論」

日本経済は今、戦後もっとも大きな転換期にさしかかっている。日本の成長を支えてきた自動車業界や電機業界などの製造業の衰退は著しく、人口減や高齢化も進む。日本経済の前提が大きく崩れている今、日本経済はどう転換すべきなのだろうか。野口悠紀雄氏が解説する。

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