テレビ通販の老舗で浮上する粉飾決算疑惑。その真偽はいかに

 テレビショッピングの「日本直販」で知られる総通(大阪市)で、長年に渡って多額の粉飾決算を行なっていた疑惑が浮上している。

 関係者によれば、総通の2011年9月期における財務諸表上の純資産額は約70億円。ところが、「実際には90億円近い債務超過の可能性があることが明らかになった」という。

 これが事実だとすれば、合計160億円もの額が、実態よりも過剰に計上されていたことになる。但し、この中には不動産の評価損などが含まれている可能性もあり、全額が粉飾とは言い切れないようだ。

 粉飾決算は、「20年以上前から行なっていたとみられ、総通も詳細な時期や内容を把握していない」(関係者)という。

 総通は、創業者である喜多進氏が1961年5月に始めたペン習字の通信教育を行なう東洋ペン学会が前身。その後、72年10月に総合通信教育センターに変更した。

 総通の11年9月期の売上高は約256億円。業界紙によればテレビ通販売上高では国内11位。

 インターネットショッピングの台頭などに加え、近年はヒット商品に恵まれないこともあり、経営環境は厳しさを増していた。さらに12年9月期は、家電や健康食品事業などが伸び悩んだ。

 こうした中、今年5月末には金融機関への約定返済が止まり、リスケジュール(返済条件の変更)が要請された。その後、6月に総通から再建計画が出されたものの不十分な内容であったため、融資する金融機関らが7月末、話し合いを行なった。その際、監査法人が総通のデューデリジェンスの内容を発表し、粉飾の事実が明らかになった模様だ。