
日産は7月30日、25年4~6月期決算を発表し、最終損益は1158億円の赤字に沈んだ。それでも、エスピノーサ社長体制下で、「反転攻勢の兆し」が見えつつある。エスピノーサ氏が社長就任前に自ら“仕込んだ施策”は実を結ぶのか。日産の経営再建の可否に迫った。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
トランプ関税影響は1500億円分軽減
だが、5四半期連続赤字の見通し
今回も厳しい決算となった。
日産自動車は7月30日、2025年4~6月期決算を発表した。売上高は前年同期比9.7%減の2兆7069億円、営業赤字は791億円、最終赤字は1158億円に沈んだ。中国で前年同期比27.5%減、日本で同11.1%減など、販売台数の減少が響いた。それに加え、円高の影響で397億円、米国のトランプ関税要因で687億円が、それぞれ営業減益につながった。販売減、円高、関税のトリプルパンチだった。
トランプ関税の影響額は通期で最大4500億円と見込んでいたが、日米合意によって関税率が15%になることで3000億円程度に減少する見通しを示した。
併せて、25年4~9月期は、営業損益が1800億円程度の赤字になると予想した。現実となれば、5四半期連続の赤字になる。通期の利益予想は明らかにしなかった。
それでも、4月から日産の指揮を執るイバン・エスピノーサ社長の下で、反転攻勢の兆しも見えつつある。次ページ以降では、エスピノーサ氏自身が社長就任前に”仕込んだ施策”が徐々に実を結んでいる様子を明かす。