ツルハ、ウエルシア、ゲンキー…
ドラッグストアで生鮮食品拡大の動きが広がる

 そんな兆候は、業界大手・ツルハHDで見られる。同社は売上高の落ち込みを埋める商材として、生鮮食品を売り始めている。今では青果、精肉を扱う店舗は740店(21年5月期)を数えるというから、ちょっとしたスーパーも顔負けだ。

 従来は加工食品や冷凍食品で集客をしていたが、そこに、生鮮食品を加えて集客をするという戦略だ。

 こうした生鮮食品拡大の動きは、ツルハHDにとどまらず、ドラッグストア業界全体に広がっている。ウエルシアHDでは横浜市内の店舗で、生鮮食品の販売を実験し、それをジワジワと広げているし、業界2位のツルハHDも全店の半数以上にあたる900店を目標設定としている。

 北陸に拠点を置くゲンキーに至っては、自社で生鮮食品の加工を行うプロセスセンターまで整備し、生鮮食品を扱うという本気度がうかがえる。

 しかし、ドラッグストアに生鮮食品のノウハウなんてあるのだろうか。生鮮は、日持ちがせず扱いが難しい。大量に仕入れて売れ残ったからと、見切って安く売っても利益が出ない。かといって見切りを恐れ、少ししか仕入れないとバラエティー感がなくて売れない。付け焼き刃では全然、収益が出せないというわけだ。

「何が、スーパーからお客を取り込むだよ」とあるスーパーの店長は憤まんやる方ないご様子。