食品スーパーは規模を競う時代に
オーケーvs関西スーパーの黒幕は三菱商事?

 スーパー側だって黙ってはいない。今、スーパー業界を驚かせているのが、食品スーパー大手・オーケーによる、関西圏を中心に食品スーパーを展開する関西スーパーマーケットへのTOB(株式の公開買い付け)だ。TOBによって、オーケーは関西スーパーを傘下に取り込み、規模拡大を図りたい思惑がある。

“目利き力”のある経営者なら分かっている。これからの食品スーパーは「規模を競う時代」がやってくると。東西に拠点を持ち店舗を展開することは非効率と分かっていても、当面は、こうしたやり方でしか規模拡大策が見当たらない。

 売上高5000億円のオーケーが、関西スーパーを取り込めばスーパー業界トップのライフコーポレーション(7591億円、21年2月期)に肉薄する。

 このTOBで“黒幕”として存在が浮かび上がるのが、三菱商事だ。オーケーとライフの共通項は大株主が三菱商事であるということと、2社ともに、「後継者がいないこと」(流通事情通)であり、現在の社長は2社ともに三菱商事から受け入れている。

 三菱商事くらいの企業集団にもなればオーケー、ライフ、そして子会社のローソンと、「流通集団をまとめて面倒見るよ」くらいの気迫があるに違いない。

安さだけでは戦えなくなったドラッグストア
売れ筋をそろえた低価格スーパーに熱視線

 なぜ、SM業界がもてはやされるのか。それは財布のひもが一段と締まってくるとみているからだ。確かに、ドラッグストアは食品の安売りにかけては右に出る者はいない。それでも、真に必要な物、今必要かどうかは疑問の商品が少なくないのがドラッグストア。

 そうであるならば、売れ筋を確実にそろえているスーパー型ディスカウントストアの方が利便性は高いという結論に達する。もはや、ドラッグストアが得意のクスリ、衛生用品はしばらくの間、ニーズが低いのだ。冒頭に示した、既存店売上高の数字を見れば、それは明らかだろう。

 ドラッグストアがコロナ禍で一斉に動かなくなっているのは、「安いから」という暗示にかかっていた消費者も、はたと我に返って気付いたからだ。

 もちろん、安いに越したことはないが、ドラッグストアの品ぞろえ、価格に魅力を感じなくなっているといえるかもしれない。結果として、消費者がジワジワとドラッグストア離れを起こしているのだ。「価格もそんなに変わらないなら、近くのスーパーで買った方が“得”」と気付き始めた消費者も少なくないだろう。

 われわれはコロナ禍にパンドラの箱を開けてしまった。もしかしたらバラ色の未来が広がっているかもしれないし、出口の遠い迷路、デフレの入り口に迷い込んでしまったかもしれない。しかし、どちらにしても引き返すことができない。

 今、ドラッグストアは正念場を迎えている――。