中国は今年3月、害虫の検出を理由に台湾産パイナップルを禁輸とし、さらに9月からは別の果物(バンレイシとレイブ)も禁輸とした。また、TPP(環太平洋連携協定)への台湾の加盟に猛反発している。こうしたことは、台湾内で蔡英文政権への不満をあおり、統一への機運を高めようとする布石なのだろう。

 それでも、習氏に言わせれば、これらの行為は侵略でもなければ覇権主義にも該当しない。なぜなら、南シナ海は中国の海であり、香港も台湾も、そして沖縄県の尖閣諸島までも、中国固有の領土と考えているからだ。

 それらを全て手に入れてこそ、中国にとっては「核心的利益」(妥協する余地のない利益)を守ることができ、習氏が目指す「中華民族の偉大なる復興」(世界の覇権を握るという自身の野望)も完遂させることが可能になるからである。

習近平思想を必修科目化し
毛沢東と並ぶ崇拝対象に

 アメリカやイギリスなどと同様、中国も9月に入学や新学期の季節を迎える。そんな中、今年はちょっとした異変が起きた。小学校から大学にいたるまで「習近平思想」という科目が必修化されたのだ。

 日本の文部科学省に当たる中国教育部は、これに先立ち、「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想を深く学習し、貫徹していくことは主要な政治任務」と発表した。

 これは、中国の全ての学校を、習近平思想一色で染め上げると宣言したに等しい。

 実際、配布された教科書では、習氏に関し、あらゆる事柄の権威で、彼に忠誠を誓うことが正しいことだと説いている。