斎藤顕一の営業プロフェッショナル養成講座
【第6回】 2012年11月30日
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斎藤顕一  [ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授、同大学院経営学研究科教授]

KPIの設定:
業績向上に直結する指標を見つけるには? [本質的問題解決Q&A]

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KPIの目標値の妥当性

 これまで述べてきたことを整理すると、使えそうなKPIは次の3つです。

1.対象顧客(既存・新規の総数)に対する受注率
2.提案に対する見積獲得率
3.見積に対する受注率

 1は、対象顧客数(総数)に対してどれぐらい受注したかを示すものです。これは、対象顧客について与信を含めて考える必要があるので、それも含めて営業の力量であるとはいえ無難なところに落ち着く傾向があり、KPIにする必要はないでしょう。ただし、先に意味がありそうだと指摘した平均受注金額は、歩留を知るための活動の後で考慮してみると役に立つと思います。

 もう1つ、KPIを考える時に大事なのは、その目標値が妥当かどうかです。質問者が管轄する中国・九州ブロックの月間平均歩留率(見積に対する受注率)は63%ですね。ところが、提案に対する見積獲得率(430/1200)は36%とかなり低い。平均値が63%だからといって、前段階の指標で同レベルを目指そうとしても、そううまくいくわけではないのです。

 そもそも提案書の提出件数が1200件ですから、営業担当1人当たり月間19.4件、つまり1人当たり1日1点の提案書を作成していることになる。訪問した会社すべてから提案書を求められるわけではないので、対象顧客当たりの提案書提出率を50%としても、営業は1日2社の既存あるいは新規の顧客を訪問して、なおかつ毎日提案書を1点作成しなければならない……これは無理というものでしょう。

 どうやら、「数打てば当たる」的な営業活動をしているようですね。もっと対象顧客数を絞り込んでから、質の高い提案書を作成することに注力して、まずは見積獲得率の向上を目指すべきでしょう。提案書の質が高ければ、見積で大きな間違いをしないかぎり、受注確率はかなり向上するはず。これを機に、今後1カ月は、対象顧客を見直し、ニーズを汲み取り、それらを反映した提案書を作成するテスト期間にしてはどうでしょう。その結果を踏まえて、KPIを決めれば確実に成果を上げられるはずです。

 さらに言えば、生産性の高い順に営業マンを3つのグループに分けて、グループ別に平均KPIを管理することをお勧めします。営業本部長に、こうした実データに基づく施策提案であれば、営業本部長も興味を示すはず。その際のプレゼンは、本部長が理解しやすいようにまとめ直すことを忘れずに(笑)
 

◆KPI設定のポイント◆
1.KPI は「自分の活動の効率と効果を高める」ための指標であり、業績向上
 に直結するものを設定する。
2.自分の営業活動をコントロールできる指標を設定する。
3.顧客ニーズを満たす提案書とプレゼンテーションが、受注に直結すること
 を肝に銘じる。

◆具体的なアクション◆
1.現在のKPIの妥当性を検証し、各自がコントロールできて業績向上に直結
 するKPIを設定する。
2.訪問すべき重要顧客を決定するほか、新規・既存の区別や訪問順位などを
 工夫する。
3.質の高い提案書を作成し、見積獲得率と受注率を高める。
 

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斎藤顕一 [株式会社フォアサイト・アンド・カンパニー代表取締役]
[ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授、同大学院経営学研究科教授]

マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社、パートナー、大阪支社副支社長を務め、1996年にフォアサイト・アンド・カンパニーを創業、現在に至る。経営コンサルティングに加えて問題解決のスキル研修を数多く手がけ、企業の業績向上に大きな成果を上げてきた。大前研一氏が学長を務めるビジネス・ブレークスルー大学において、経営学部および大学院経営学研究科教授。これまでBBTオープンカレッジ、学部、大学院の生徒や企業研修の生徒を合わせて、2万人以上の人たちに問題解決の考え方や実践の仕方、また成果実現の方法を教える。大前研一氏との共著に『実戦! 問題解決法』(小学館)、『大前研一と考える「営業」学』(ダイヤモンド社)がある。単著に『[新版]問題解決の実学』(ダイヤモンド社)がある。

 


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「営業の達人」のスキルは努力の賜物であり一朝一夕に身につくものではありません。でも実は、日々の営業活動のなかに、これを習得する近道があります。困っていること、わからないこと、迷っていること等々は「営業目標を達成するために最も重要な成功の鍵」です。これらの問題を「発見」し、「解決」することで、営業プロフェッショナルとしてのスキルが培われます。

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