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岸博幸のクリエイティブ国富論

自民党の政権公約で本当に日本経済は再生するか?
“大胆な金融緩和”に隠れたバラマキ政策への警鐘

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第208回】 2012年11月30日
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 12月16日の衆院選では自民党の圧倒的な優位が報道されています。一方、各種の世論調査では、衆院選で重視する政策として景気対策が上位に来ています。そこで、既に自民党が発表している政権公約に記されている経済政策で日本経済が再生するかを考えてみましょう。

短期的な政策対応は正しい

 メディアでは連日、安倍総裁の“大胆な金融緩和”に関する発言ばかりが報道されていますが、自民党の政権公約を読むと、現下のデフレと景気悪化に対しては、大胆な金融緩和と大型補正予算など弾力的な財政出動によって対応すると言っています。

 短期的な政策対応としては、この方針は正しいと言って差し支えないのではないでしょうか。

 まず金融緩和については、様々な賛否両論が主張されていますが、リーマンショック以降4年間のドル/ユーロのマネタリーベースの増加ペースに比べると、日銀がどう言い訳しようと日本の金融緩和が不十分なのは明らかです。

 よく“中央銀行の独立性”が言われますが、それは金融政策の手段の選択についての話であり、金融政策の目的や達成できない場合の責任などについては別問題です。デフレが20年近くも続くという異常事態に対処するのに、民主党の政権公約のように“基本的に日銀に任せる”というのは論外ではないでしょうか。

 そして、短期的には大型補正予算など弾力的な財政出動が必要なのも事実です。日本経済の需給ギャップが15兆円もあることを考えると、金融面の対応だけではデフレ脱却に不十分ですし、景気の悪化を食い止める観点からもある程度の財政出動はやむを得ません。

中長期的な政策対応は間違っている

 このように、自民党の政権公約は短期的な経済運営の観点からは正しいのですが、中長期的な経済運営という観点から見ると、明らかに間違った方向に行こうとしているのではないかと思えます。中長期的にも予算をバラマキ続けようとしているからです。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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