コロナショックでワンルームの
稼働率が悪化

 スペイン風邪のようなパンデミックの感染爆発の顛末(てんまつ)記などには「2~3年でみんな忘れちまった」などという表記がある。喉元過ぎれば、人間の警戒心は緩む。パンデミックはいずれ何事もなかったように収束を迎える。その折には、日常生活は元通りになるというのが史実である。

 今回のコロナショックで経済を止めたものの、失業率が2.8%と低水準なのは、非正規雇用の人が職を失ったケースが多いからだ。こうした人たちは家賃が払えなくなるので、結果的に実家に帰るケースが多いが、今回の景気後退はこうした低所得者層への被害が大きかった。このため、ワンルームなどの家賃の安いセグメントほど稼働率が悪くなっている。ちなみに、リーマンショックの際は金融ショックだったので、高所得者層に影響が大きく、高額賃貸物件ほど稼働率が悪くなった。

 早ければ、年度内に大都市圏の人口回復が始まる可能性がある。次年度の初頭である4月には本格的に回復し、例年の人口動態と同様になるであろう。コロナが終われば、雇用が生まれる。雇用が一番生まれるのは東京なので、東京一極集中がまた始まることになる。リモートワークが残るにしても、通勤しなくていい人は限られるのではないだろうか。

市況が変化する前に
自宅家賃を下げる方法

 とはいえ、現在のワンルーム市況は悪い。次の2~3月の繁忙期を超えると、稼働率も持ち直し、落ち着きを取り戻しているだろう。その後は流入人口に支えられた順調な回復基調になる可能性が高い。しかし、それまでは稼働率が悪いからこそ、特典が付いてくる物件が多い。

 例えば、礼金がゼロだったり、フリーレントという家賃無料期間が付いてきたり、といったものも多い。フリーレントには一定期間以上住むことが条件になることもあるが、次の更新時期である2年後まで住むのであれば、フリーレントはお得になる。実際、物件検索サイトでも「フリーレント」を検索条件にして探すことができる。

 1DKは需給がひっ迫しており、ワンルームよりも単価が高いケースが一般化しているが、近いうちにリモートワークが減ることが見越せるなら、今のワンルームは割安だ。貸し手が困っている今が格好の時期といえる。引っ越しを検討してみるのはいかがだろうか。