一方、日本酒のブレンドは、主に同じ品質で造るためにいくつかの蔵元のタンクを混ぜるもの。吟醸などの高級な日本酒の場合、違う日本酒同士を混ぜるという発想はなかった。

 しかし日本酒も原料の酒米には山田錦や五百万石などいくつもの種類があり、それぞれ特徴がある。さらに酵母による違いや蔵元ごとの仕込みの違いがあり、さまざまなバリエーションがある。そこで日本酒をワインのようにアッサンブラージュすることで、新しいブランドを作ろうというのだ。

 たとえば茨城県の青木酒造には茨城県産の酒米であるひたち錦、ふくまる、一番星、日本晴と県産の酵母を使った、『御慶事』という酒がある。そうした地域色を前面に出し、古酒と新酒を合わせたり、酸味の強い酒と甘味の強い酒を合わせたりするなどして、新しい『御慶事』を限定で販売した。

 山形県米沢市では米沢の4つの蔵元の純米吟醸酒(すべて酒米が違うというこだわりっぷり!)をアッサンブラージュした『米沢四蔵「米沢アッサンブラージュ」』を販売。

 また、全国9つの蔵元からなる日本酒イベントチーム『若手の夜明け』が自社の銘酒を提供してアッサンブラージュを行う試みも行われた。

 その他、シャンパンの最高峰、ドン・ペリニヨンの元醸造最高責任者による、酒米と酵母の違う原酒を合わせた『IWA 5』が発売されるなど、ユニークなアッサンブラージュが各地で始まっている。

ワインのような
高級路線に活路

 二つ目がワインのような高級路線だ。ワインと同等の高価格商品を作ってハイブランドのホテルやレストランで提供したり、世界の富裕層を対象にセールスする。

 日本酒専門Webメディアの『SAKE TIMES』が仕掛けた高級ブランド『SAKE HUNDRED』は、超高級路線で攻める。最も高額な商品は27年物の古酒『現外』が19万8000円、その他2万~3万円をボリュームゾーンとした日本酒がラインアップされている。

 兵庫県のヤヱガキ酒造が販売している『栄華』シリーズの頂点、『栄雅 純米大吟醸』は720mLで3万3000円とこれも超高級。日本酒好きには有名な杜氏、農口尚彦が自身の蔵元、農口尚彦研究所で造った『NOGUCHI NAOHIKO 01』は3万7800円という高額ながら完売した。