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シュリンク業界で生き残れるか?~構造不況の迷宮で再起を図る人々 吉田典史

「24時間労働で8000円」の残酷職場に咲く一輪の花
漫画家アシスタントが“未来の先生”を諦めない理由

――漫画家アシスタント・田中綾乃さん(仮名)のケース

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第15回】 2012年12月11日
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24時間勤務で日給8000円のときも
異様な職場で働く漫画家アシスタント

漫画家アシスタントの田中綾乃さん(仮名)

 漫画家はいくつもの雑誌に連載などを持つようになり、仕事が忙しくなると、アシスタントを雇う。今回登場してくれる田中綾乃さん(仮名・30歳)は、専門学校に在籍していた20歳の頃からアシスタントを始め、そのキャリアは約10年になる。

 フリーランスとして働くだけに、収入は不安定になりがちだ。月収は多いときで30万円ほど、少ない場合は7~8万円という。アシスタントとしての年収では、300万円を超えたことは1度もなく、150万円以下のときもある。

 「漫画家として自分の作品も描くけれど、“売れる”というレベルには達していない。漫画家としての年収は、30万円に満たないくらい。だから、アシストタントを続けている」

 これまでに、メインのアシスタントとして仕えた漫画家は2~3人。トップバッターの“女性の先生”は売れっ子で、当時30代半ばぐらいだった。

 まだ学生だった田中さんが仕事場に行くと、異様な雰囲気に包まれていることもしばしばだったという。

 「先生(漫画家)とアシスタントが喧嘩し、職場には誰もいない。先生は、甲高い声で『わ~っ!』とヒステリックに周囲に当たるタイプだった」

 通常、雇用主である漫画家がアシスタントの収入を決める。田中さんには、「働けば働くほど本来もらえる額の収入が減る賃金体系」に思えたという。

 「1日24時間勤務で8000円だった。締め切りの前は、徹夜になることが多い。月収では12万円ほど。先生は甲高い声で『お仕事の日数をたくさんあげるから、日給の額は下げるわね~~~!』とおっしゃっていた……」

 この女性漫画家は売れっ子だけに仕事は多く、メインのアシスタントが4~5人いた。だが、次々に辞めていく。アシスタントとの口論は絶えなかった。男性のアシスタントが怒りのあまり、部屋に鍵をかけて立て籠もることもあった。田中さんも幾度も叱られた。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


シュリンク業界で生き残れるか?~構造不況の迷宮で再起を図る人々 吉田典史

「働いても働いても、生活が楽にならない」。それは気のせいではない。日本の多くの業界は今、先が見えない「構造不況」の暗闇の中にいる。シュリンクする業界で働く人々にとって、業績アップ、収入増、労働環境の改善などを目指すことは難しい。しかし、そんななかでも、他人と違うアイディアを考案したり、誰も気づいていないビジネスを見出すことで、必死に生き延びようとする人はいる。この連載では、シュリンク業界で絶望し、起死回生を図るビジネスマンや個人事業主の生の姿を描くことを通じて、私たちがビジネスで心得るべきヒントや教訓を考えていく。

「シュリンク業界で生き残れるか?~構造不況の迷宮で再起を図る人々 吉田典史」

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