18歳からは親権から離れる
親子関係の良好性が重要

 ポイント2:18歳からは子どもでも親権に服さなくなる

 さて、子どもが契約に失敗して道を外れないように、「タガをしっかりと締めなければ」と考えを新たにされた親御さんもいらっしゃるかもしれません。さらに、成年年齢の変更によってもう一つ変わる点があります。「18歳からは子どもでも親権には服さなくなる」という点です。

「おまえは私のあとを継いで医学部を目指しなさい」
「いやだ。僕は迷惑ユーチューバーになって15万再生を目指すんだ!」

 これまでは親の権威で納得させられたかもしれない子どもの進路も、法律上は18歳になったその日から親の強制はできなくなります。

 具体的には18歳の成年は、自分の住む場所、進学先、就職先、結婚相手を自分の意思で決めることができるようになります。

 とはいえ、大半の親御さんにとっては今回の法律変更は大きな問題にはならないと思います。というのもこれまで同様、大学という進路を決める時点では子どもは未成年の高校生で、親と相談しながら進路を決める必要があります。そして就活の際にはこれまでも成年に達していたわけですから、ここで大きな問題は起きないでしょう。

 さらにいえば、18歳から成年に法律が変わった後も、飲酒、たばこ、ギャンブルについては20歳にならなければできないという点は変わりません。ですから大枠でいえば、子どもの進路に関する親権の行使については前提の変化はそれほどないとも言えるでしょう。

 ただ、逆説的ではありますが、問題は親子関係がこじれたケースで起きるでしょう。関係が最悪な状況になってしまった親子の場合、18歳になれば子どもは自分の意思で親を離れ、好きな進路を選び、好きな相手と同居を始めることが法律上も認められるようになるのです。

 そのことを考えると、親にとって大切なことは子どもとの関係性をいかに良好に保つかだと思います。親として強圧的に接するのではなく、子どものうちからじっくりと話を聞いてやり、一緒に悩み、一緒に解決策を考えてあげられるような関係性を築く。そういった取り組みがこれまで以上に重要になるのです。