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ミャンマー その投資ブームは本物か

政府と産業界の調整弁として機能する商工会議所
日本の中小企業は現地企業との合弁で進出を

杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]
【第18回】 2012年12月13日
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昨年3月の民政化以降、ミャンマーにおいては矢継ぎ早に大掛りな改革プランが打ち出されており、現在でも数多くの法律が修正や新規作成の途上にある。従前の軍政下でのミャンマーであれば、そもそも法律の改正はそれほど重要視されていなかったが、民主化以降においては、その改正プロセスは当然ながら民間の意向を配慮して執り進める必要がある。特に経済やビジネスに関連する法律であれば、実際の経済界の意向を無視した修正であれば、単なる机上の空論での改革に終わってしまう。

 はたして、ミャンマーで現在進めている改革は、どの程度ビジネスの実態やニーズに即して進められているのだろうか。またそれを担う経済界側の窓口はどこなのか。そして、そこではどのように政府と民間との意見のすり合わせが行われているのだろうか。これらの疑問に答えるために、ミャンマー商工会議所 (The Republic of the Union of Myanmar Federation of Chambers of Commerce & Industry, “UMFCCI”)のゾー・ミン・ウィン(Zaw Min Win)副会頭に話を聞いた。

民生化以降に影響を受けた
経済分野の4つのポイント

ゾー・ミン・ウィン(Zaw Min Win) ミャンマー商工会議所副会頭
Photo:Japan Asia Strategic Advisory

――昨年以来多くの変化がこの国に起こり、その結果多くの国内外の人々がミャンマーはついに変革に本格的に取り組み始めたと思っている。ミャンマー内部から見ての今までの変化のポイントは何か。

 まずは、2011年3月に現政権になってからの、民政下における経済改革と政治改革の概要を説明したい。

 現政権は多くの法律において、新たに修正や変更を実施してきた。その動きの根底には、民主化への大きなスタンスの変化がある。これが変更における1点目のポイントだ。

 2点目のポイントとしては、市場の自由化だ。現政権以前においてもミャンマーは市場経済ではあったものの、それが十分機能的に運営されているとは言えない状況だった。それが現政権になって、国外に向けて市場開放を明言している。実際、昨年以降、現政権は自由化を推し進め、それまで存在していた経済成長における障壁の撤廃に動いてきた。

――経済的な側面でも、今までに至るまででも、多くの変化が短期間に行われた。その中でも特に影響の大きい変化をあえて挙げるとすると、何になるだろうか。

 この点については、いくつかあげられると思う。まず一点目として民間投資を促進する環境整備がある。現在わが国においては、民間セクターが非常に重要視されており、経済発展において主体的な役割を期待されている。政府も、民間セクターの経済活動に対してより多くのインセンティブを付与し始めているが、その対象は国内民間企業のみならず、海外の民間企業による直接投資も含まれる。

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杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]

すぎた こういち/カリフォルニア大学サンタバーバラ校物理学及び生物学部卒。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)経済学修士課程卒。15年間にわたり複数の外資系投資銀行にて、海外進出戦略立案サポートや、M&Aアドバイザリーをはじめとするコーポレートファイナンス業務に携わる。2000年から2009年まで、UBS証券会社投資銀行本部M&Aアドバイザリーチームに在籍し、数多くのM&A案件においてアドバイザーを務める。また、2009年から2012年まで、米系投資銀行のフーリハン・ローキーにて、在日副代表を務める傍ら東南アジアにおけるM&Aアドバイザリー業務に従事。2012年に、東南アジアでのM&Aアドバイザリー及び業界調査を主要業務とする株式会社アジア戦略アドバイザリーを創業。よりリスク度の高い東南アジア案件において、質の高いアドバイザリーサービスの提供を目指してASEAN各国での案件を遂行中。特に、現地の主要財閥との直接の関係を生かし、日系企業と現地企業間の資本・業務提携をサポートしている。ミャンマーにおいては、大手事業会社、総合商社、金融機関等の進出戦略立案及びその実行サポートに携わる一方で、2012年よりダイヤモンド・オンライン(Diamond Online)にて、3年間にわたり人気コラム『ミャンマー その投資ブームは本物か』『海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線』を連載。


ミャンマー その投資ブームは本物か

民主化へ一気に動き出したミャンマー。政治体制の不安定さや民族間の紛争など、ミャンマー特有のリスクは依然として残るものの、欧米による経済制裁が解除されつつあり、世界中の企業が東南アジアの「ラスト・フロンティア」として注目している。現地では電力をはじめとした社会インフラに関する大型投資案件、工業団地の造成が急ピッチで進められている。日本企業も、成長の糧をミャンマーに見出そうと、熱い視線を注いでいる。しかし、ブームとなっているミャンマー投資は、果たして本物なのだろうか。ブームに踊り、現実を軽視した、拙速な投資へと急いでいないだろうか。現地取材を敢行し、冷静な目でミャンマーの現実をレポートする。

「ミャンマー その投資ブームは本物か」

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