「小さくても、しっかり儲かる会社を作る」がモットーの税理士、山本憲明氏。日本に根強くある「会社は大きくするもの」という思想を排し、日々、多くの経営者をサポートしている。その山本氏に「なぜ、一度大きくした自分の会社を、小さくしようと思ったか」を語ってもらう。

「なぜ会社を小さくしたか」。
その実体験を語る。

 税理士の山本憲明と申します。10月から『社長は会社を「大きく」するな!』というタイトルで連載をやらせていただき、そこで非常に多くの方々から反響をいただきました。誠にありがとうございます。※前回の連載、前々回の連載

 反響として多かったのは、「大きくしてはいけないという考えはわかった。でも実際、実行に移すのは難しいのではないか」という声です。

 規模が小さいとはいえ、私は「自分の会社を小さくした経験」があります。そこで今回の連載は、その経験をお話しすることで、少しでも皆さまの会社経営のご参考になればと思っております。

 私が税理士事務所を開いたのは2005年1月です。はじめは仕事も全くなかったため、自宅を事務所にして、1人で開業しました。その後、順調にお客さまも増えていき、その年の夏には顧問先も20社を超え、1人で仕事を行うのは厳しい状況になってきました。

 そこで、ホームページやメールマガジンで求人の募集を出し、1人の方がアルバイトで働きたいと言ってきてくれました。

 その方は他の税理士事務所でも働いていたため、週に1日しか来られないので、自宅に来てもらおうと思いました。しかし家族がいたり、私も外出することがあるので、事務所を借りることにしました。