農水省の調査結果から単純に年間数量を推定すると、全国の販売数量は約1万2552トンで、そのほとんどが国産と表示されたアサリということになる。

 しかし、国産アサリの20年の漁獲量は4400トンにすぎない。しかも、内訳は愛知県産が1600トン、北海道産が1500トンで、熊本県産は21トンしかない。

 国産アサリの多くは、飲食店ではなく小売店で販売される。したがって、全国の販売数量約1万2552トン(推定)から国産アサリの漁獲量4400トンを差し引いた、約8000トンが国産アサリと偽装して販売されていた可能性が高い。

 外国産アサリは、中国と韓国からしか輸入されておらず、21年の輸入量は合計で3万5370トン。その内訳は、中国産が2万5246トン、韓国産が1万124トンだった。

 外国産アサリのうち、中国産が約7割を占めていることや、昨年12月、農水省が「少なくとも19年1月2日から2月10日までの間に、中国産を熊本県産と偽装して約611トン販売した」として熊本県の水産会社を摘発している状況をみると、小売店で販売されていたアサリは、中国産を熊本県産に偽装していたと考えられる。

 では、もし中国産アサリを国産アサリと偽装して売れば、どのくらいもうかるのだろうか。